大滝ひかる

大滝ひかるの美しい花吹雪~ソロデビュー曲「あの日の花吹雪」で叶える夢~

歌謡グループ「はやぶさ」が結成されてから10年。11年目となる今年、「はやぶさ」は日本クラウンへの移籍と同時に、メンバーである「ヒカル」の「大滝ひかる」名義でのソロデビューも発表された。

その第1弾となる「あの日の花吹雪」は、大滝にとって、思わず自分を重ねてしまうような思い入れのある作品になっている。また、カップリングの「守られし里 ~縄文さむかわ~」にも驚くようなエピソードが。そこには、大滝を中心に回る不思議な縁があった。

もうひとつの夢を叶えてもらった瞬間

 ――ヒカルさんの「大滝ひかる」としてのソロデビューが話題になっていますね。ソロデビューはどのような経緯で決まったのですか?

大滝 2月のある日、突然、所属する事務所からはやぶさの私たちに「話がある」と連絡があったんです。それで、メンバーであるヤマトと一緒に事務所へ向かったんですが、その時はどんな話なのかも知らされていなかったので、「もしかしたらもう、活動できないという話なのかな……」と、正直ちょっと暗いことを想像してしまっていました。実はこれまで活動をしてくるなかで、「このまま続けていてもいいのかな」と悩んでしまっていた時期もあったんです。だからヤマトと2人、「もしそうなってもそれをちゃんと受け止めて、またそこから考えていこうね」みたいな話をしながら、覚悟を決めて向かっていました。

――そうして行ってみたら、とてもうれしいニュースだった。

大滝 そうなんです! まず最初、事務所の方に「はやぶさ」としての新しい活動を考えていると言っていただき、「まだこの先、自分たちは頑張らせてもらっていいんだ」と、希望の光が射した気がしましたね。でも本当にびっくりしたのはその後。「実はそれぞれ、ソロでの活動もしていけるように考えていて、その第1弾はヒカルのソロにしようと思う」と言われました。ひっくり返るかと思いました! まさかそのような活動をやらせていただけるなんて、まったく思っていなかったことなので、喜びというよりも、まず驚きました。でもそれと同時に、ヤマトはどうなるのかなっていう心配も考えてしまったんです。

――これまでずっと一緒に走り続けてきたヤマトさんのことを考えたんですね。

大滝 自分だけがこんなにうれしい思いをしちゃっていいのかなって。そうしたら、事務所の方に「もちろんヤマトのことも考えているよ」って言っていただいて、そこでようやくよかったと安堵しました。10年前、「はやぶさ」としてデビューが決まった時も、言葉にならないくらいうれしかったですが、また新たに、もうひとつの夢を叶えていただけることになって、「よし、じゃあまた1からの気持ちで頑張ろう!」って思いましたね。そして、この曲をすぐに覚えてほしいと渡されたのが「あの日の花吹雪」でした。

大滝ひかる

“母さんと呼びたい人は あなただけ”

ソロデビュー曲第1弾は「あの日の花吹雪」。生まれてすぐに実母が亡くなり、その後新しい母と暮らすことになった主人公の想い。血のつながりがなくとも可愛がってくれた、義理の母との別れと再会を、大滝ひかるがセリフを交えながら歌っている。

――「あの日の花吹雪」を最初に聴いた時はどんな印象でしたか?

大滝 すぐに家に帰って、歌詞カードを見ながら曲を聴いたんですが、もう泣けて泣けて・・・。涙がたくさんこぼれました。まずこの歌の内容に涙したというのもありますし、自分にソロという道を事務所が与えてくれたということに対しての、感謝の涙もありました。それからもうひとつ、自分の生い立ちもこの楽曲と重なる部分があったというのもあります。実は私も、小学校1年生の時に両親の離婚という形で実母と別れてしまって、それからは父と祖父母がいろいろと面倒を見てくれていたんです。なので、自分で言えば祖母が、この曲に出てくる義理のお母さんと重なりました。祖母はもう亡くなってしまいましたが、曲中にある“母さんと呼びたい人は あなただけ”という歌詞を聴いた時には、やっぱり祖母を思い出してしまいましたね。

――ということは、この曲はヒカルの経験を元に作られたのでしょうか?

大滝 いえ、そうではなく本当に偶然だったんです。この曲の主人公は、作詞をしてくださったかず翼先生のお知り合いの方で、実際にこのような経験をされた方がいらっしゃって、その方の話をもとに作られたとお聞きしました。だから私をイメージして書かれたわけではなかったんですが、奇跡的にリンクしたんですね。事務所の方は、「この歌は生い立ちと重なる部分があるから、もし嫌だったら言ってね」と気遣ってくださったんですが、そんなことはまったくなくて。ぜひこれを歌わせてくださいって、すぐに連絡しました。

祖母と一緒に見た“あの日の花吹雪”

――それからレコーディングに臨むまでは、どのような準備をされてましたか?

大滝 まずはレコーディングに向けて、2カ月くらい作曲の宮下健治先生のお宅へレッスンに通って、そこで1から演歌を叩き直していただきました。ずっと演歌は歌ってきて、その間も、言葉を大切にするように、聴いてくださる方に伝わるように歌うっていうのは、身に付いてきてるものだと思ってたんですよね。ところが、いざ先生に歌を聴いてもらうと、「どこかうまく歌おうとしている。それでは伝わらないよ」と言われてしまって。この10年間で、そんな歌い方が身に付いてしまっていたんでしょうね。だから、今までやってきたことは1度忘れて、また1からレッスンしていただきました。レコーディング当日は、ヤマトに「頑張って来るね」と連絡をして、ヤマトから「大丈夫だよ」と声をかけてもらえたので、隣にヤマトがいなくても、なんだか常にいてくれているような安心感がありました。

――この曲のキーワードである「花吹雪」ですが、どんなイメージで歌っていますか?

大滝 私の中では、桜の花びらが舞っている様子をイメージしています。この曲を聴きながら思い出したのが、祖母と一緒に見た桜の花吹雪だったんです。以前、介護の仕事をしていたことがあったんですが、その施設で桜の花を見に行くという日がありまして。「そうだ、うちのおばあちゃんにも桜を見せてあげたいな」と思って、私が車を運転して一緒に桜を見に行きました。祖母も「綺麗だね」って言っていて、それが最後でしたけどいい思い出になりましたね。皆さんにもそれぞれ、楽しい思い出や、「元気にしてるかな?」という、ちょっと寂しい気持ちなど、お母さんへの思いがあると思いますが、ぜひそれを心に浮かべながら歌ってていただけたらと思います。

大滝ひかる

「それは縁起がいい」。寒川との不思議な縁

カップリング曲の「守られし里 ~縄文さむかわ~」は、日本屈指の縄文遺跡が発掘されたことで有名な神奈川県寒川町が舞台。かつてはそこに存在した大自然の壮大さが感じられる一曲となっている。

――カップリング曲「守られし里 ~縄文さむかわ~」はどういった流れで歌われることになりましたか?

大滝 この楽曲は、もともと事務所でお預かりしていたもので、「ヒカルが神奈川県出身だからいいんじゃないか」ということで候補に挙がったようですが、実はこの曲にも、ちょっと縁を感じるエピソードがあるんですよ。実はちょうど1年前、いとこに連れられて、寒川町にある寒川神社にプライベートで参拝に行ったことがあったんです。その時に、なにやら神社の管理の方々が5、6人で大きな木を囲んで盛り上がってたんですね。で、「どうしたんですか?」と聞いてみたら、その大きな木に蛇がいると。「蛇に会えるっていうのはなかなかないことで、すごく縁起のいいことです。良かったですね」って言われたんです。

――とてもラッキーな出会いだったんですね!

大滝 そうなんです。でも、1年前のことですし、そんなことがあったのを、いつの間にか忘れていたんですよね。そうしたら、ある時スタッフの方からこの曲について電話があって、そこで「あれ、寒川ってそういえば……」と、この蛇のことを思い出しました。その話をすぐにスタッフの方に話して、そこから作詞と作曲の先生にも伝わり、やっぱりすごく珍しくて、とてもいいことらしいという話になり、「もう絶対にこの曲しかない!」と歌うことが決まりました。

――作詞をされた島村繁さんは、寒川町観光協会の会長さんとか?

大滝 はい。先日、島村さんにお会いしてお話を聞かせていただいたんですが、縄文時代、この寒川には、あたりに川が流れていたそうです。水が湧き出ていたから、自然に人々がそこで生活をするようになって集落ができた。それで現代になって、遺跡が発掘されるようになったみたいですね。「守られし里 ~縄文さむかわ~」の歌詞は、朝方に突然ふっと島村さんのもとに降ってきたというエピソードも教えていただきました。なんだか全部がつながっているような、不思議な縁を感じますよね。

大滝ひかる

演歌の素晴らしさを伝えていきたい

 ――はやぶさのメンバーとしてのヒカル、ソロ歌手としての大滝ひかる。2つの名前を持つことになったわけですが、今後はどういった活動を考えていますか?

大滝 「はやぶさ」の時は踊ってみるなど、演歌とはまた違った世界観の曲もやらせていただいていたので、その10年間というのは、本当にありがたいと思います。だから、「はやぶさ」としては、ヤマトとの相乗効果がこれまで以上に出せたらいいなと思ってます。同時にソロ活動の面では、これまでずっと、民謡とか、歌謡浪曲とか、三味線、日舞など、いろいろなことを、いつか活かせる時が来たらいいなと思って勉強してきたので、それを全面的に活かして、演歌の素晴らしさを伝えていけたらいいなと思ってます。演歌をよく聴かれる年代の方にはもちろんですが、できることなら、自分と同世代ぐらいの方にも、「演歌っていい歌だな」って少しでも感じてもらえるような、そんな歌手になっていけたらなと思いますね。

――「はやぶさ」の活動を含めこれまでの経験や勉強してきたことが下地になり、今回、大きな転機になったんですね。

大滝 はい、ファンの皆さん、事務所の皆さんにはもちろん感謝していますし、今の事務所を紹介してくださったかず先生にもとても感謝しています。周りのお友達に生い立ちだったり、デビューまでの話を聞くと、もっと大変な苦労をしてきている方もいっぱいいるんです。そういう話を聞いた時には、いかに自分が恵まれている環境にいるのかを考えさせられますし、もっと感謝しなくちゃいけないなと思うんです。だから、皆さんには必ず恩返しをしたいですし、もっとたくさんの方に応援してもらえる歌手にならないといけないなと思います!

(文=鳥嶋えみり)

大滝ひかる

完成したばかりの新しいサインを披露してくれた大滝ひかる。ソロ歌手としての新しい名前がとってもお気に入りだという。

“大滝ひかる”誕生の瞬間・・・「それでお願いします!」

「せっかくソロとしてもスタートを切らせていただくので、気持ちを切り替える意味でも、これを機に新たに名前をつけてもらうことになりました。私が所属する事務所・長良グループの先輩方のお名前には、『水』や『川』という、水に関わる漢字を持つ方が多く、『大滝』という苗字はどうかと提案をいただいたんですが、もう聞いたその瞬間に気に入っちゃって。

その場で『それでお願いします!』って言ったら、『いやいや落ち着いて! そんな慌てないで、もう少し考えて決めた方がいいよ』って言われてしまいました(笑)。それで自分なりにいろいろ考えたんですけど、候補の中でやっぱり1番気に入ったのは「大滝ひかる」だったんですよね。あまりに簡単に決まったから、マネージャーさんたちもびっくりしたと思いますよ(笑)」(大滝ひかる)

 

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2022年9月7日発売
はやぶさ ヒカルのソロデビュー曲
大滝ひかる「あの日の花吹雪」
大滝ひかる

「あの日の花吹雪」
作詞/かず翼 作曲/宮下健治 編曲/石倉重信
c/w「守られし里 ~縄文さむかわ~」
作詞/島村繁 作曲/テミヤン. 編曲/友常正己
日本クラウン CRCN-8507 ¥1,350(税込)

歌謡グループ「はやぶさ」のメンバー「ヒカル」が、「大滝ひかる」名義で発表する、初のソロデビュー作「あの日の花吹雪」。幼いころに別れた義理の母との再会までを描く作品だ。血のつながらない母子という、他の作品でもあまり見られない関係性だが、それでも確かに存在する愛の物語に、思わず涙してしまう人も多いだろう。カップリング曲「守られし里~ 縄文さむかわ~」は、昭和57年(1982年)より続く大規模な発掘調査により、数々の遺物が発掘された、神奈川県寒川町を舞台にした作品。民族調のメロディーに乗せて、縄文時代に広がっていた広大な自然をダイナミックに歌っている。


大滝ひかる

Profile

大滝ひかる(おおたき・ひかる)
4月10日、神奈川県生まれ。子どものころから演歌を聞き、美空ひばりや三波春夫に憧れ、歌手を目指す。2007年、日本クラウン創立45周年記念新人オーディションで準グランプリを獲得するもデビューには至らず。2012年、3人のボーカリストからなる歌謡グループ「はやぶさ」のメンバー「ヒカル」として、「ヨコハマ横恋慕」でデビュー。その後も「ちょっと待ってよヨコハマ」「ロマンティック東京」「月あかりのタンゴ」など、次々と楽曲を発表し、2016年には、フランス・パリで開催された「JAPAN EXPO」を筆頭に、ロンドン、ニューヨークなど、海外でのイベントに出演した。2018年、メンバーである「ヤマト」との2人態勢になった後、同年8月にアニメ「デュエル・マスターズ!」のオープニングテーマ「ジョー デッキ―!!!」を発売。2022年9月、日本クラウンへの移籍第一弾として「大滝ひかる」名義でソロデビューを果たす。

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