小田純平の気持ち「いつかあいつへ恩返し」

2020.08.26

等身大の自分を映し出した「東京狼(うるふ)」に賭ける

小田純平の最新曲は、「東京狼(うるふ)」という独創的なタイトルがつけられた。“狼”と書いて“うるふ”と読ませ、その読み仮名の表記も、“ウルフ”ではなく、あえて平仮名で記している。

「元々は、別のタイトルがついていたんですよ。でも、作詞をお願いしたリーシャウロンさんと相談して、このタイトルに変更しました。“ウルフ”ではなくて“うるふ”で表記するというのも、その時に決めたんです」

昨年末から、断捨離も兼ねてこれまで自身に提供してくれた作品を作詞家ごとにスクラップし、整理していたという小田。その際に、陽の目を見ないままにストックされていたリーシャウロン氏提供の本作を見つけたのだそうだ。

「歌詞を改めて読み返してみて、これこそ今の自分の心境にピッタリな歌だって思って。コロナ禍の現状にあわせて少し修正していただいたんですけれど、『心あばれんぼう』の部分は残してもらって。元々のタイトルは、その『心あばれんぼう』だったんです」

作曲に関しては、早い段階で楽曲のイメージは出来上がっていたという。

「ウッドベースから入るイントロは、最初から『これで行こう』と思っていました。気だるい雰囲気、でも骨のある、芯のある、男の生きざまを醸し出したかったんですね。そこから歌いだしの『ビルのないこのまちを』につなげて。歌いやすい入り口にしました。全体のメロディーも歌いやすさを心がけて作ったので、皆さんにもカラオケで楽しんでいただけると思います」

デビューから40年余り、精力的に活動を続け、数多くの作品を発表してきた小田。「東京狼」の中には、自身のキャリアを振り返り、今思う小田の心情が色濃く表されている。

「僕は、53歳の時にシンガー・ソングライター小田純平として再デビューしました。それ以降は、自分が素直な気持ちで歌える歌を大切に歌ってきている。翻して言えば、それ以前は、素直になりたくてもなれない自分がいたんですね。親から言われてきた言葉、『人様に迷惑をかけるんじゃない』って、誰もがわかっている簡単なことですよね。でも、それを見失ってしまうこともある。僕が、ここまで続けてこれたのも、いろんな人の支えがあって、ポイントポイントで導いてくれた人がいたからであって、今回の歌の最後にある『いつかあいつに恩返し』というのは、そのすべての人たちに思いを届けたいと思って歌っています」

等身大の自分を歌っていこうと決めた小田は、新型コロナ感染拡大の状況下でも積極的に活動の幅を広げている。そのひとつが、ツイッターによる情報発信だ。

「まだまだツイッター初心者ですけれど、毎週『小田劇場』っていうことで弾き語り動画をアップしています。フォロワーの方々からモノマネのリクエストもあったりして、この前もクレイジーケンバンドとか演りましたよ(笑)。自分も楽しみながらやっています」

今の時流に合わせながらも、自らの可能性を拡げるために、これからも小田はメッセージを発信し続けていく。

2020年8月26日発売
小田純平「東京狼(うるふ）」

「東京狼（うるふ）」
作詞／リーシャウロン　作曲／小田純平　編曲／矢田部正
c/w「酒は恋割り涙割り」
作詞／リーシャウロン　作曲／小田純平　編曲／矢田部正
日本クラウン　CRCN-8344　¥1,227+税

小田純平の新作は、作詞にTVアニメ『幽☆遊☆白書』のテーマソング「微笑みの爆弾」の作詞で知られるリーシャウロン氏を迎え、新たな切り口と世界観を構築している。大人が共感する“見果てぬ夢”をテーマに“男のかわいらしさ”を表現した作品。「リーシャウロンさんはポップな世界で活躍している方だけに、切り口が斬新で渋くてカッコいい作品に仕上がりました」（小田）という自信作だ。

Profile
小田純平（おだ・じゅんぺい）
1957年4月15日、鹿児島県生まれ。本名：馬越敏幸（まごし・としゆき）。実家が運営する一座「ナポリ演芸会」の子役として3歳で初舞台を踏む。1979年CBSソニーから「海を見ていよう」でデビュー（本名の真越敏幸にて）。1983年に小田順平へ改名し、2004年より小田純平に表記を改めた。シンガーソングライターとして自らの作品を発表するだけでなく、里見浩太朗やキム・ヨンジャ、山本譲二など数多くのアーティストに楽曲を提供し続けている。