【マキマキ 歌の交差点!】吉幾三さん「港町挽歌」
今はなき北洋漁業の独航船。その船乗りの女房を主人公に、女性の強さと待つ身の辛さを、吉幾三が哀愁漂うメロディーに乗せて歌い上げている。吉幾三の新曲「港町挽歌」。マキマキこと牧野尚之が、吉の本音と素顔に迫りました。
「一升飲んでも、五合飲んでも眠れんよって。どんだけ飲む嫁や(笑)」
牧野 皆様こんにちは。オトカゼチャンネルの牧野尚之です。今日は、新曲を発売されました吉幾三さんに新曲「港町挽歌」のお話など、色々とうかがってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。吉さん、こんにちは。
吉 どうも、お久しぶりでございます。
牧野 ありがとうございます。30数年か40年くらい前ですよ。よく飲みました、あの時は。
吉 あの頃はね、本当によく飲んでました。毎晩飲んでましたもん。
牧野 吉さんの話で酔いがまわったり……うれしかったですね(笑)。でも、感動のあの時から40年近く経ちましたけれども。新曲のお話をうかがう前に、色々と別のこともうかがってまいりたいと思いますが、吉さんの肩書きを聞きますとね、当然ながら歌手でいらっしゃる。で、作詞・作曲者、シンガー・ソングライター、ラッパー、俳優、タレント。あらゆる分野でご活躍ですが……。
吉 入ってません、ひとつ。農業が入ってません。
牧野 農業……!(笑)
吉 青森でナス作ってますから。
牧野 それは大切ですね。ホワイトハウスの横で(笑)。
吉 はい。ちょっと裏の方でですけど。でもナスはね、あんまり作っちゃダメ。
牧野 どうしてですか?
吉 どんどん増えていきます。嫁と二人で食い切れなくなってます(笑)。
牧野 (爆笑)。ところで、吉さんの芸能生活は、50年と言ってしまってよろしいんでしょうか。
吉 そうですね。来年5
牧野 いやいやいや、それは弟子の真田ナオキくんの……(笑)。えー、2021年1月27日に徳間ジャパンから発売されました、北海道の港町が舞台の「港町挽歌」でございます。これはご本人の作曲ですが、里村龍一先生の作詞なんですね。
吉 里村先生は釧路出身でね、漁師の息子さんだったので海の歌が結構多いんですけど、「吉さんさあ、こんな曲書いたんだけどさ、なんかいい曲つけてよ」ってもらったのが10年ぐらい前で。それでもらってすぐに曲書いたんですよ。これはずっと寝かしておいたやつです。
牧野 そうなんですか!
吉 ええ。それで、今出さなきゃいけない曲というのはまだいっぱいあるんですけども、あえて無くなってしまった北洋漁業。独航船。今歌ってあげないと、その頃を知っているお父さんやお母さんが多分いなくなってしまうなと。そういった意味でも、まぁ釧路とね根室、北海道の歌ではありますけれども、まぁいいんじゃないかと。ただもうちょっと後の時期に出したかったんだよね。こんな時期だから、コロナ禍の中でね、何もできないじゃない。北海道にも行けないし。そう言っても言うこと聞かんのじゃ、このレコード会社!(笑)
牧野 時は時ですけども、それでも温めていた作品であって。これは、命を賭ける船乗りの女房の奥さんの気持ちですよね。過酷な船乗りの旦那には私くらいの強い女じゃなきゃダメなんだ!みたいな気持ちを歌っていますね。
吉 いい詞なのよ。一升飲んでも、五合飲んでも眠れんよって。どんだけ飲む嫁や(笑)。
牧野 まぁ、歌の世界ですからね(笑)。
吉 どんぶらこ、どんぶらこって、そこは気に入ってるの。メロディーの中でね、「どんぶら どんぶら どんぶらこ」って、そこは一番最初にできたんですよ。そこから作った歌なんでね、そういい歌ではないですね(笑)。
牧野 (爆笑)
吉 頭から作った歌じゃありませんから。里村先生も弱ってきてるんで(笑)、もう今出してあげないとかわいそうでしょ(笑)。で、里村先生に「どうしてる?」って言ったら、「吉や、新しいゴルフクラブ買いたい」って言ってるから、その分出してあげなきゃいけないと思って。僕大好きな人ですからね(笑)。
牧野 でも、本当に味わい深いいい歌ですよ。
吉 本当!いい歌。うん。
亡き友を思い、語る「二人のブルース」
牧野 そして、両A面にしたいくらいのもう一曲が、これこそシンガー・ソングライターとして作られたご自身の作品「二人のブルース」。
吉 「二人のブルース」ね。
牧野 いいですねぇ。これは聴いた途端に、「あ、実話だ」と、テーマはあの方かなと私思いましたよ。
吉 うん、まぁ、僕の心の中では……亡くなったね……。
牧野 実はさっきこのお話しをちょっとさせていただきますと言ったら、「涙でなかなかうまくレコーディングで歌えなかった。今でも歌えない」と、吉さんおっしゃっていましたね。
吉 うん、まだちょっと無理ですね……。まぁあの、わずかな思い出だけども、志村けんさんとの思い出をね、歌いたかった。他にも東日本大震災とかでね、亡くなった友達もいるし、病気で私と同じ歳でねがんで亡くなった友達もいるし。まだお線香もあげに行けてないのよ。コロナじゃなくてもね、葬式も密葬で済ませたとか。なんとか花だけでもと送らせてもらった友達がいっぱいいたのよ、今年。去年も含めて。だから、志村さんのところへもまだお別れの挨拶にも行けてないんですけどね。ちょっとした私との思い出をね、歌にしたんです。
牧野 話の友、酒の友。歌を聴いていて、私たちの年齢になるとこういう思いって多くなりますね。
吉 そうですね。お葬式が増えたよね。コロナじゃなくてね。僕はもう親父もお袋もね、亡くなっちゃいましたけども、ただ、亡くなる人もいればまた生まれてくる新しい命があり。これが世の中の常ですからね。でも、寿命が長くなってるし、おばあちゃんおじいちゃん方もさ、食べるものに気をつけて、足腰鍛えて運動すればね、もう100まで全然、もう100歳まで生きられる時代なんだから。
牧野 寝たきりじゃいけませんからね、本当に元気でね。
吉 だからね、これを観ている国会議員の方々ね。あなた方ね、もうちょっとね、年寄りを大事にしなさいよ。年金をもうちょっと多くしてさしあげなさい。自分たちだけボーナスもらってるんじゃなくて。アホかお前ら!……そういうことでね(笑)。
牧野 ありがとうございます。ですからこの歌が大ヒットすることによりましてね……。
吉 私もいずれオリンピックの大会の会長になるでしょうね(笑)。
牧野 オリンピックといえば、オリンピックがあったら歌いたいという歌を、結局オリンピックが延びてしまいましたが、CDで発売されました。
吉 ええ、「涙…止めて」っていう歌ね。僕ね、これね、世界中ずっと回ってね。ニューヨークのダウンタウンにも行っちゃいけないって言われていたんですけど友達の車で行ったり、テレビ番組でエチオピアとか色々なところに行ってきてね。これ日本の子どもたち、自分の孫、子こどたちも含めて幸せだと。全部じゃないですよ。日本だってね、貧しい家庭や子どもたちもいます。いるけども、まだ日本は平和だなと。子どもたちの命が第一じゃなきゃいけない。それで、オリンピックって5つの色があるじゃないですか。
牧野 五輪の輪ですね。
吉 ええ、あの色をね、微妙に入れた歌でね。世界中の子どもたちが泣かないように「涙…止めて」という歌を出したんですよ。
牧野 こちらもCD発売されておりますので、どうぞ皆さんもね、「涙…止めて」を聴いていただければと思います。
吉 オリンピックの会長になったから、ぜひ聴いてみてください(笑)! これをね、日本の歌手の方々とみんなで歌いたいんですよ。で、英語バージョンも書いてありますので、英語は世界共通語なので、ぜひそこのところですね、切にお願いしまして、東京都知事の小池さん。なんとかよろしく。多分この辺に電話番号書いて……書いてねえか(笑)! 今から30分以内に電話するとやすくなりますので。
牧野 ありがとうございます。ということで、吉幾三さんに色々お話をうかがいました。2021年、令和3年を飾る吉幾三さんの新曲は1月27日発売、里村龍一作詞、ご自身吉幾三作曲、南郷達也編曲「港町挽歌」。思い出の詰まった北海道の港町を舞台にした、苦楽を共にする船乗り夫婦のエレジーです。カップリング曲は、吉幾三作詞・作曲、「二人のブルース」。思い出がありすぎる、今は亡き友を思い、語る。心の郷愁を誘う渾身の一曲です。両A面と言ってもいいほどの2曲、「港町挽歌」「二人のブルース」。さぁ、皆さん聴いてください。そして歌ってください。吉幾三の新曲を、どうぞ皆様方応援よろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
吉 ありがとうございました。えー、最後にひと言。大変なんです、助けてください……!
牧野 (爆笑)
2021年1月27日発売
吉幾三「港町挽歌」
Profile
吉幾三(よし・いくぞう)
青森県五所川原市生まれ。作曲家・米山正夫氏に師事し、1973年に山岡英二の名前で発売した「恋人は君ひとり」で歌手デビュー。1977年に吉幾三に改名し、自身の作詞・作曲による「俺はぜったい!プレスリー/青春荘」を発売。以降、シンガー・ソング・ライターとしてだけでなく、映画やテレビドラマなどにも出演するなど幅広く活躍する。作詞・作曲家としては、千昌夫氏を筆頭に、愛弟子の真田ナオキなど多数作品を提供。