新宅未奈子「旅を追いかけて~輝きながら~」
戦後75年の節目の年に平和を祈り歌い続ける
原爆投下の爪痕が残る広島で新宅未奈子は生を受けた。親族に被爆者もいるという。幼少期より平和活動に関心を持ち、中学生になると新宅は”広島折鶴の会”に入会、その活動に傾倒していった。他方で、歌うことが好きだった彼女は、美空ひばりや江利チエミに憧れるごくごく普通の少女として成長する。高校を卒業後、銀行に勤めるようになると、時には友人たちと飲みに出かけ、当時出はじめた8トラックテープのカラオケ機で歌を楽しむOL生活を過ごしていた。
結婚後、カラオケ喫茶をオープンさせ、自身もカラオケ教室に通うなど、歌うことは常に新宅の生活のなかにあった。1980年代の後半には、自身の経営するカラオケ喫茶で新宅も歌唱指導するまでになっていたが、ある時、カラオケ教室の先生から「こんなオーディションがあるけれど、応募してみては?」と勧められ「牡蠣船情話」歌唱オーディションを受けることとなった。「実力試しのつもりで応募した」というオーディションで新宅は地方予選を勝ち抜き、本選へ進み準優勝を果たした。「本選1位の方が辞退して」、かくして新宅未奈子は平成元年にCBSソニーからデビューすることとなった。
平成の30年間、ひたすら歌い続けてきた新宅は、イギリスやアメリカ・アリゾナでの海外公演も経験。令和の時代に入ってレコード会社を移籍し心機一転、新たな一歩を踏み出したが「自分の体力と声が続く限りは歌い続けていきたい」と、新宅は未来を見つめている。
新宅未奈子 最新CD
「旅を追いかけて~輝きながら~」
遅咲きのデビューながら「32年間歌い続けてきた集大成となるような作品を」との思いを作詞家・荒木とよひさ氏に相談しながら進められたという新作は、「演歌っぽくならないようにということと、語りを大事にしながらということに注意しながらレコーディングしました」という。他方でc/wの「おぼろ酒」は、「明るい夫婦演歌なのでリズムにしっかり乗って、遊び心を取り入れながら歌っています」とのこと。
新宅未奈子のお店
「未奈子のカフェテラス浪漫」
歌手デビューのタイミングと前後して新宅はそれまで経営していたカラオケ喫茶をリニューアルして「未奈子のカフェテラス 浪漫」をオープンさせた。通常のカラオケ喫茶の営業と水曜・木曜には同店舗でカラオケ教室を開いている。最寄り駅のJR芸備線・安芸矢口駅より徒歩10分。
Profile
新宅未奈子(しんたく・みなこ)
8月26日、広島県安芸高田市出身。中学生の頃から“広島折鶴の会”に参加し平和活動を続けてきている。1989年、当時通っていたカラオケ教室の先生の勧めで応募したオーディションに合格し、CBSソニーから「牡蠣船情話」で歌手デビュー。日本クラウン、キングレコードを経て今夏、徳間ジャパンコミュニケーションズに移籍。地元・広島を中心に歌手活動とカラオケ指導を並行して活動中。特技の和太鼓は、師範級の腕前を披露する。