門松みゆき

門松みゆき~新曲「花の命」で、なまめかしく美しく~

2019年のデビューした門松みゆきが師匠である藤竜之介氏から3作品目として授かった曲が「花の命」だ。女の生き様を花に例えたドラマチックな作品が、門松の太い声の魅力を引き出す。門松自身、息の量、息の温度にまで神経を配りながら、なまめかしく美しく歌っている。

聴く人の想像力を膨らませる

27歳という若さに似合わず、太く、力強い歌声が魅力の門松みゆき。最大の持ち味である中低音を響かせて伸びやかに歌う姿は、すでにベテランの域に入ったかのように堂々としている。昭和の歌姫・ちあきなおみを彷彿とさせ、それを改めて本人に言うと「皆さんがそう言ってくださいます。ちあきさんのような世界観を出せる人は少ないので、期待を裏切らないよう頑張りたいです」と、屈託のない笑顔を見せた。

そんな門松が、3枚目のシングルとなる「花の命」をリリースした。これまでの作品同様、石原信一氏が作詞、師匠である藤竜之介氏が作曲を担当。女性の生き様を花に例え、繊細ながらも芯の強い姿を描いたドラマ性の高い楽曲となっている。

「どんな人にも通じる、深い愛の歌です。聴く人によって思い浮かべる相手が変わってくると思うんですね。ある人はピュアな初恋の人、またある人は長く片思いだけれど一途に思い続けている人、そして妻子ある人など他人には言えない人が相手なのかもしれない。ですから、誰もが自然に想像力を膨らませられるような歌い方を心掛けています。そのうえで、とにかく歌い上げない。語りがキーポイントなので、しっかりと歌詞の言葉の一つひとつを押さえるようにしています」

クライマックスは「エンヤさ こんな命でも」

若い自分が、恋愛の奥深さをいかにして聴く人の心に届けるか。聴く人の多くは自分より年齢が上で、人生経験も豊富だ。ゆえにこの曲が「門松には早すぎると思われるのが一番イヤだった」と、正直な気持ちを吐露する。

「歌のレッスンに入る前にいつも自分の中で物語を想像し、つくり上げることから始めます。自分のキーに合うように転調し、自筆の譜面も作成。その横に詩を添えて歌のイメージを描くんです。そのあとようやく声を出す段階へ。じっくり時間をかけることで、今回の曲も中低音という私の持ち味を生かせばきっと表現できると思いました。先生方もそう信じてつくってくださったと思います」

曲のクライマックスでは、「エンヤさ こんな命でも」という歌詞が出てくる。「エンヤ」は「艶冶」と書き、なまめかしく美しい、そんな意味があるそうだ。

「エンヤ~と思わず力みそうになりますが、そうではなく強さの中にも女性ならではのしなやかさを表現したい。ちょっとした造語になりそうですが、インパクトがあり耳に残る言葉なので大切に歌いたいですね」

「花の命」は、その時の気分で歌うのもいい

デビュー曲「みちのく望郷歌」は王道演歌、次の「浜木綿しぐれ」は港もののブルース。そして今回の「花の命」でようやく師匠らしい曲調の歌が歌えると、うれしく思ったという。

「繊細でドラマチックなのが、藤先生の世界観。きたきた~って感じです(笑)。門松みゆきとしても、ひとつ背中を押してもらえたようなステップアップできる曲だと思っています。師匠は常日頃、『語りの歌は、マイクを人の耳元だと思って歌いなさい』と言います。レコーディングではいつもマイクから離れて立っていましたが、今回はそうではなく、近づいてささやくように歌いました。息の量、また息の温度までが声の質に関わってくるもの。そのあたりをすごく意識しましたね」

息の量や息の温度。10年という長い修行の時間を経て今に至る門松ならではの、プロフェッショナルなセリフである。いつの時もきちっと確実に歌うことを信条としているが、今回の「花の命」は聴く人のテンションや自分のその時の感情で歌うのもいいなと、そんな思いも膨らませている。

 

ニューシングル「花の命」は超お得

門松みゆきの魅力を引き出すカバー曲
「命の花」のカップリングには、昭和初期の名曲「フランチェスカの鐘」(二葉あき子のカバー)と、「東京ブギウギ」(笠置シズ子のカバー)が収録される。まったく異なる曲調の2曲だが、平成生まれの門松みゆきが歌いこなす、聴きごたえある作品となっている。

門松 新型コロナウイルスによる自粛期間中に、古関裕而先生の楽曲をコロムビアのアーティストが歌いつなぐというTwitterでの企画があり、私が担当したのが『フランチェスカの鐘』でした。曲は知っていても実は歌ったことが一度もなかったので、歌唱するにあたりこれでもかというくらい練習しました。1曲に対してこれほど集中したのは修行以来のことです。結果的に皆さんからすごく反響があり、うれしい出会いになりました。また『東京ブギウギ』は明るい曲を入れようということでセレクトされましたが、とんでもなく明るいので、それこそ1杯ひっかけたほうが歌えるんじゃないかと思うほど、テンションをあげるのに悪戦格闘(笑)。でも、すごく勉強になりましたし、盛り上がりが期待できる曲なので、ライブなどでぜひ皆さんと楽しみたいと思っています。

“勝手に小田原観光大使”
カップリング2曲に加え、さらに今回のCDには門松の故郷である小田原の歌「小田原小唄」がボーナストラックとして収録されている。生まれ育った小田原をもっと多くの人に知ってほしいと、門松は“勝手に小田原観光大使”と銘打って名所などを巡る動画を発信しているが、地元をPRするにはまさに絶好の曲。原曲(五月みどり・中尾渉)は1962(昭和37)年、小田原市民会館の開館記念行事で発表されたものである。

門松 夏祭りの際のテーマ曲として幼少の頃から口ずさみ、多くの人になじみのある曲です。だからこそ原曲を壊したくないという思いがあり、私には少しキーが高いんですが変えずにそのままで歌いました。コブシを回す部分など、原曲を歌ったお二人のクセもそのまま生かしたつもりです。

小田原を見事にいい当てた歌詞が五番まで並ぶが、調べてみると原曲は十番まである作品らしい(昭和37年7月1日発行の広報紙「広報 おだわら」に記述)。「どんな歌詞なのかぜひ知りたい!」と当人も興味津々、目を輝かせて言っていた。

そんな門松、コロナによる自粛期間中に料理の腕をあげたそうだが、ゆとりをもって過ごした2020年に代わり、2021年は120%の馬力で歌を多くの人に届けていきたいと意気込む。

門松 コロムビアの先輩から、まだデビュー2年目なのに10年いるような感じがすると笑われます。それは私にとって、最高の誉め言葉。修行の10年は決して無駄ではなかったと、これからも自信をもって突き進んでいきたいと思います!

文=藤井利香


2021年1月27日発売
女の生き様を花に例えて
門松みゆき「花の命」

門松みゆき 「花の命」

「花の命」
作詞/石原信一 作曲/藤竜之介 編曲/西村真吾
c/w「フランチャスカの鐘」
作詞/菊田一夫 作曲/古関裕而 編曲/西村真吾
c/w「東京ブギウギ」
作詞/鈴木勝 作曲/服部良一 編曲/西村真吾
(ボーナストラック)
「小田原小唄」
作詞/石本美由起 作曲/遠藤実 編曲/上畑正和
日本コロムビア COCA-17829 ¥1,227+税



profile
門松みゆき(
かどまつ・みゆき)
1993年3月24日、神奈川県小田原市生まれ。2歳の時に演歌に目覚め、小学生の頃から歌手の道を目指す。中学・高校時代は吹奏楽部所属。2009年、15歳の時に日本テレビ「歌スタ」出演し、ポップスでの歌手デビューの話が出るが断る。16歳(2009年)から作曲家・藤竜之介氏に師事。演歌・歌謡曲からポップスまで幅広くレッスンを受ける。2013年、日本テレビ「全日本歌唱力選手権 歌唱王」の第3回予選で坂本冬美の「祝い酒」を歌い絶賛される。東京・江東区にある東京イースト21の「カラオケのど自慢大会」には2011年の第1回大会から2018年の第8回まで、司会・ゲスト出演を続ける。2019年2月27日、「みちのく望郷歌」でデビュー。特技はダンス、津軽三味線、トロンボーン。津軽三味線は尊敬する歌手、北島三郎の「風雪流れ旅」を聴き、興味を持ったという。

 

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