千葉一夫の魅力を再確認〜新曲「「さくら路」で魅せるさわやかさ〜

2月24日発売の「さくら路」はデビュー41周年目を迎えてもなお、さわやかでフレッシュな千葉一夫の世界観を味わうことができる作品である。当初は11月発売予定で、歌詞の内容が桜ではなく風花が舞い散る情景が描かれた曲だったものだったという。そしてカップリングの「望郷演歌」では、初めて三味線を取り入れた曲に挑戦。意外なことにまったく違和感がなく、気持ちよく歌えたと話す。そんな千葉に日常生活、新曲をカラオケで歌うコツなどを聞いてみた。

「皆さんにぜひ聴いていただきたい自信作です」


Q せっかく新曲が発売になりますが、(新型コロナ感染防止のため)相変わらず先の見通しが立たない状況が続いていますね。千葉さんはどのように過ごされていましたか?

千葉 ほとんど家にいたね。時間を見つけては、家の周りをよく歩いていました。家の中でゴロゴロしているのが、あまり好きじゃないんですよ。あてもなく、ほっつき歩く(笑)。時々は足を延ばして、1日1万歩とか、多い時は2万歩くらい歩いたこともあるよ。コロナもいくらかは収まるんじゃないかと思っていたけど、どうなるか見当がつかないから、まだ計画の立てようがないですよね。本当は新曲も、昨年の11月頃に出そうかという話になっていたんですけど、「少し延ばしたほうがいい」と2月の発売になったんです。それでもまだダメですね。

Q 新曲「さくら路」は、桜の花びらが舞い散る曲なので、季節としては2月でもちょうど良かったように感じますけれど……。

千葉 本当は「風花」の歌だったんですよ。でも風花ではちょっと季節が合わないから、「さくら」に詞を変更してもらいました。最初は桜の花びらではなくて、小雪がちらつく情景だったの。季節が春に変わり詞の内容も多少変わって、少し明るい感じになったのかな。男のやさしさと女のいじらしさがある歌です。意味深ですけれどね。

Q 最初は「風花」だったということですが、初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?

千葉 これまでも、逃避行や道ならぬ恋を歌ってきましたが、どちらかというと女性の心を表現した女唄が多かったんですよね。今回は麻こよみ先生が、歌の主人公を男バージョンと女バージョン、両方書いてくれたんです。どちらにするかと聞かれて、女性目線の歌は何曲も歌っているので、今回は男でいきましょうということになりました。曲に深みがあって、やさしそうで難しいところもあるので、カラオケファンの方にはぜひ挑戦して歌っていただきたいと思いますね。

Q 歌っていて難しいのは、具体的にどのようなところですか?

千葉 細かいフレーズと、歌い回しが難しいフレーズがあるんですよ。最初の“二人の行く手を 遮るように”の“二人の”とか、次の“桜の”のところなんかは、シンコペーション(※)っていうリズムがね。譜面どおりに歌ってもらいたいのですが、素人さんには難しいところなんです。CDをよく聴いて、覚えていただきたいですね。サビの“二度とは戻れぬ ふるさとよ”でグッと盛り上げておいて、その後の“肩を優しく 抱き寄せる”を軽やかに歌うのが面白いんですよ。リズムに乗ってね。この辺はノリが勝負!“おまえと おまえと”は男っぽく、男の優しさみたいなものが出せたらいいんじゃないかと思います。

※シンコペーションとは、本来のアクセントとは違った場所にアクセントを置いて通常とは違ったリズムのノリを生み出す手法のこと。シンコペーションを使うと、安定したリズム進行の中で突然拍がずれたように聴こえるため、聴き手の印象に残りやすい。

千葉一夫の新たな一面を発見できる「望郷津軽」


Q カップリングの「望郷津軽」についてはいかがでしょうか。

千葉 「望郷津軽」、僕はとても気に入っているんですよ。実は、三味線を始めましてね(笑)。40周年を機に、何かに挑戦しようということになって、三味線でも弾いてみるかって。師匠について習っているんだけど、これがなかなか難しくてね。でもせっかく始めたんだから、三味線の曲をということで作っていただいた作品です。今まではどちらかというとソフト路線だった千葉一夫のイメージから三味線、津軽……接点がないでしょ? でもレコーディングで、すごく気持ちよく歌えたの。3~4回歌ったらOKが出て、こんなに気持ち良い歌は初めてじゃないかな。あまり作り込まずに素で、ありのままの千葉一夫で歌えました。だからカップリングだとは思っていないんですよね。僕は両A面のつもりで歌っています。

Q 今は津軽三味線も趣味のひとつですね。他にお好きなことはありますか?

千葉 もちろん、そうなりますよね。それと以前からの趣味は「城めぐり」なんです。日本全国、行った先々でお城をめぐるの。初めて行ったのは姫路城かな。名古屋、大阪、松本、彦根、小田原なんかなもちろん行っていますし、行きたいところはまだまだいくらでもあります。お城って、天守閣まであがって景色を見渡すと、とても気持ちいいじゃないですか。ちょっと偉くなった殿様気分で(笑)。何年か前に、お城の前で撮った写真を集めてカレンダーを作ったんですよ。それが結構評判が良くてね。「千葉ちゃんと城めぐり」っていうの(笑)。

Q それはおもしろそうなカレンダーですね! 最後になりますが、今後はどんな音楽活動をされていきたいですか?ファンの皆さんへのメッセージもぜひお願いします。

千葉 どんな活動……今の状況だとなかなか考えられないですね。キャンペーンも回れないし。とりあえず三味線を、今年中にステージで披露できればうれしいですね。それが今年の目標かな。皆様の前で歌えるのはいつになるかわかりませんが、新曲の「さくら路」と「望郷津軽」をどうぞよろしくお願いします。ぜひCDを買っていただいて、覚えて歌っていただけたらと思います。早くコロナが収束して、「なんだったんだろう、あの騒ぎは」って言えるようになるといいですね。お互いに身体に気をつけて過ごしましょう。

(文=夏見幸恵)

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2021年2月24日発売
千葉一夫「さくら路」

「さくら路」
作詞/麻こよみ 作曲/花笠 薫 編曲/伊戸のりお
c/w「望郷津軽」
作詞/多野 亮 作曲/花笠 薫 編曲/井戸のりお
キングレコード
KICM-31004 ¥1,273+税


 

千葉一夫の新曲「さくら路」は、道ならぬ恋の逃避行をテーマにしながらも、満開の桜を散らす風が薫るようなさわやかさを感じさせる曲だ。千葉の最大の魅力である切なくも艶のある歌唱で、男のやさしさと女のいじらしさが見事に表現されている。カップリングは千葉が昨年から習い始めたという津軽三味線をフューチャリングした「望郷津軽」。これまでのソフト路線とは一線を画す作品でありながら、千葉の新たな一面を存分に楽しめるみちのく演歌に仕上がった。

Profile
千葉一夫(ちば・かずお)
1950年8月11日、千葉県銚子市生まれ。中学生の頃から歌が好きで、数々のコンテストに出場。高校卒業後は国鉄(現在のJR)に就職したが、歌手への夢を捨てきれず25歳で退職。国鉄時代に自主出版でリリースしたレコードが関係者の目に留まり、作曲家・弦哲也の一番弟子となる。1980年「君に逢いたい」でレコードデビュー。切ない恋の歌には定評があり、「紫陽花しぐれ」、「かすみ草」など、カラオケファンからの支持を集めている曲多数。