
【ライブレポート】「ずっとずっと、そばで応援して」水森かおり、31年の絆。オール巨人との初デュエットや紅白衣装で魅せた“終わりなき歌の旅”
“ご当地ソングの女王”水森かおりが、デビュー32年目のスタートとなるメモリアルコンサートを東京・渋谷で開催。数々の賞を受賞した名曲から、オール巨人がサプライズ登場した新曲のカップリング、さらに客席を練り歩くお祭りラウンドまで。ファンへの深い感謝と愛に溢れたステージだった。
真紅のドレスで華やかに開幕
1995年9月25日、「おしろい花」で産声を上げた歌手・水森かおり。日本全国の美しい風景や哀愁漂う恋模様を歌い継ぎ、いつしか“ご当地ソングの女王”として確固たる地位を築き上げた彼女が、今年も自身のデビュー記念日に特別なステージを用意した。2026年9月25日、東京・LINE CUBE SHIBUYA。会場には開場前から多くのファンが集い、年に一度のお祭りを待ちわびる熱気と笑顔が溢れていた。



アナウンスにより開演が告げられると、ステージ中央がスモークで満たされる。覆われたスモークが晴れると、そこに姿を現したのは、真紅の薔薇を幾重にもあしらったような艶やかなドレスに身を包んだ水森かおりだ。1曲目は、現在ロングヒットを記録している今年の勝負曲「恋の終わりの名古屋にひとり」。切なくも力強い歌声が響き渡ると、客席に揺れるペンライトの波がいっそう激しく瞬いた。

「9月25日、私、水森かおり、今年(歌手として)32歳のお誕生日を迎えることができました。今日もこうして全国から駆けつけてくださる皆様のおかげで、最高の一日を過ごすことができて幸せです」

恩師たちとの記憶が蘇る名曲メドレー
司会を務める西寄ひがしとの軽快な掛け合いで会場を和ませると、これまでに数々の栄誉に輝いてきた名曲が披露される。水森にとって賞レースの思い出は、楽曲を紡いでくれた恩師たちとの記憶と強く結びついている。「熊野古道」「ひとり薩摩路」「越後水原」と、さらに「釧路湿原」「五能線」「島根恋旅」を歌い継ぐ中で、彼女は当時のエピソードを丁寧に語り始めた。

「第44回日本作詩大賞を『釧路湿原』でいただいたとき、受賞後に木下龍太郎先生に『先生に出会えてよかったです』とマイクを通してお伝えしたんです。先生は感極まって、本当は『俺もだよ』と言いたかったそうですが、涙をこらえるのが精一杯で言葉にならず、後で『ごめんね』と……。先生のあの笑顔は、今でも鮮明に思い出されます」

さらに、「五能線」で日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞した際、盾を渡してくれた恩師・弦哲也から小さな声で「おめでとう」と声を掛けられ、溢れそうになる涙を必死にこらえたこと。「島根恋旅」ではまさか賞をもらえるとは思っていない水森がステージ袖のスタッフに楽屋へ戻るように指示したところ、日本有線大賞に選ばれ、スタッフが驚きのあまり食べていた弁当を放り投げてステージ袖に走ってきたという笑い話。一つひとつの歌に込められた愛と感謝の歴史が、彼女の真っすぐな歌声に乗って観客の胸に届いていく。
オール巨人がサプライズ登場し、水森とデュエット!
ステージの空気がガラリと変わったのは、新曲「恋の終わりの名古屋にひとり」のタイプ別に収録されたカップリング曲のコーナーだ。能登半島地震の被災地である輪島朝市への祈りを込めた応援歌「能登の春」、信号機もコンビニもない奈良県野迫川村の清らかな空気を描いた「天空の里」、テレビ埼玉のレギュラー番組に携わったことで生まれたご当地ソング「しあわせ彩の国」と、色とりどりの情景を歌で描き出していく。

そして、タイプDに収録されているデュエット曲「夢洲ブルース~デュエット編~」を水森が歌い始めた時だった。ステージ下手から大きな影が現れたかと思うと、それはデュエット相手である人気漫才師・オール巨人だった。サプライズ登場だ。

「夢洲ブルース」は大阪万博の開催地・夢洲を舞台に、MBSラジオの企画から誕生した楽曲で、原案・作詩は同曲の福島暢啓アナウンサー、作曲はこの日も司会を務めていた西寄ひがしが担当した。元々は関岡香アナウンサーのために制作されたが、水森が仮歌を担当したことから、昨年リリースされたアルバム『歌謡紀行24~大阪恋しずく』に収録したところ、巨人が気に入り、デュエット編が実現した。
「ラジオで流れていた私の歌を聴かれた巨人師匠が『めっちゃええ歌や』と絶賛してくださって。実際に万博のステージや、プライベートで歌われている映像を関係者の方からいただき、こちらから『ぜひデュエットで』とオファーさせていただいたのがきっかけです」


「大阪からオール巨人師匠が来てくださり、一緒に歌わせていただけるなんて光栄です」と感激する水森だったが、ここには裏話が。巨人の登場はシークレットだったものの、彼は「ここの会場は初めてで、関係者入口がわからず正面玄関から入ってきてしまった」という。案の定「お客さんに『あれ?』って顔されましたわ」と笑う巨人だったが、多くのファンにとってはうれしいサプライズとなった。

ラジオの企画から誕生したローカル曲「夢洲ブルース」。水森かおり、さらにはオール巨人までもが歌ってくれることになり、作曲の西寄ひがしは「印税が心配です」と、ホクホクの笑顔!?
「この曲はめちゃくちゃ難しくて、家で声が嗄れるくらい練習した」と苦労を語った巨人だったが、いざ歌い始めるとその低音と水森の澄んだ高音が心地よく絡み合う。貴重な生デュエットに、客席からは割れんばかりの拍手が送られた。
お祭りラウンドと『歌謡紀行25』の書き下ろし新曲



中盤の「お祭りラウンドコーナー」では、鮮やかな黄色をベースにピンクのフリルや和柄の帯をあしらった、華やかでポップなお祭り衣装に着替えて再登場。ステージ上には和太鼓が運ばれ、提灯が飾られる。盆踊りチームの面々が賑やかに踊る中、水森は客席から現れ、「東京音頭」や「炭鉱節」「マツケンサンバⅡ」をメドレーで歌いながら3階席、2階席、そして1階席とくまなく歩き回る。


一人ひとりと目を合わせ、しっかりとハイタッチを交わし、「ありがとう」と声をかけるその姿こそ、水森かおりがファンから深く愛され続ける理由にほかならない。



熱気冷めやらぬまま、ステージは9月23日に発売されたばかりの最新アルバム『歌謡紀行25~恋の終わりの名古屋にひとり~』の世界へ。「ねぶたの女」「たそがれの札幌」、そして故郷を離れて頑張る親友へ語りかけるような温かいフォーク調の「球磨川~親友へ~」、水森自身がコンサート幕開けに歌える作品がほしいとリクエストして出来上がった「虹いろ夢紀行」など、ファンが心待ちにしていた書き下ろしの新曲群が初披露された。


鮮やかな衣装の“引き抜き”で沸かせる
いよいよコンサートは終盤へ。黒の生地にゴールドの煌びやかな刺繍が施された重厚なロングドレスで登場した水森は、原点であるデビュー曲「おしろい花」を情感たっぷりに歌い上げる。



「東尋坊」、「鳥取砂丘」でその確かな歌唱力を響かせたのち、昨年の紅白歌合戦での歌唱曲「大阪恋しずく」へ。
同曲は2026年6月に発表された国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2026(MAJ2026)」において、「カラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー」の演歌・歌謡曲部門を受賞した人気曲だ。



曲のアウトロで、水森が「行きますよ〜!」と声を掛けた瞬間、黒のドレスが引き抜かれ、中からまばゆい純白のドレスが一瞬にして現れた。紅白のステージでも披露された衣装に客席からは大きなどよめきと感嘆の拍手が沸き起こった。



“かおりファースト”の絆を胸に32年目へ
純白のドレス姿でマイクを握り直した水森は、真っすぐな瞳で客席を見渡した。
「今日からまた新たに32年目に突入させていただきます。皆様のおかげで、日々歌わせていただけているということを決して忘れることなく、感謝の気持ちを胸に歌ってまいります。どうか皆さん……“かおりファースト”で、どこかよそに行かずに、ずっとずっと水森かおりをそばで支えて応援していただけるとうれしいです」

その言葉には、31年間トップランナーとして走り続けてきた彼女の、飾らない本音が滲んでいた。
万感の思いを込めて、この日2度目となる「恋の終わりの名古屋にひとり」を熱唱。そしてラストは、彼女のコンサートに欠かせない定番曲「明日(あした)への扉」。サビでは「かおり!」という息の合った大きなコールが巻き起こり、その声に水森も「最高!」と絶叫して応える。


メモリアルなコンサートの全プログラムを終えると、弾けるような笑顔で観客に手を振り続ける水森。ゆっくりと緞帳が下りていき、彼女の姿が見えなくなった後、緞帳の向こう側から「おわり~!」という水森の元気な声が響き渡った。
どこまでもファンに寄り添い、歌と笑顔を届け続ける水森かおり。32年目の終わりなき歌の旅は、ここからまた、新たな希望とともに始まっていく。
2026年9月23日発売
水森かおり『歌謡紀行 25 ~恋の終わりの名古屋にひとり~』
[初回限定盤]CD+DVD

DVDには「恋の終わりの名古屋にひとり」MV、恋の終わりの名古屋にひとり」カラオケMVを収録
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-75361 ¥3,900(税込)
【Amazon.co.jp限定】歌謡紀行25~恋の終わりの名古屋 (初回限定盤) – 水森かおり (複製サイン入りメガジャケ付)
[通常盤]

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-75365 ¥3,500(税込)
【Amazon.co.jp限定】歌謡紀行25~恋の終わりの名古屋 (通常盤) – 水森かおり (複製サイン入りメガジャケ付)
収録曲
恋の終わりの名古屋にひとり
たそがれの札幌
ねぶたの女
三陸挽歌
東尋坊
逗子の月
高遠 さくら路
大和路の恋
熊野古道
島根恋旅
恋雨前線
球磨川~親友へ~
虹いろ夢紀行
鳥取砂丘
・全14曲収録 ※各形態共通
・DVD:「恋の終わりの名古屋にひとり」MV、「恋の終わりの名古屋にひとり」カラオケMVを収録。


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