
北山たけし、急逝の姉弟子・松原のぶえさんへの思いと “自立”。恩師・北島三郎による新曲「北の港」で誓う王道演歌への回帰
北山たけしが新曲「北の港」のリリースを翌日に控えた9月15日、東京・港区の所属レーベル テイチクエンタテインメントにて合同取材会を開催し、恩師・北島三郎(作家名・原譲二)から授かった新曲「北の港」の魅力をPRした。また9月13日に急死した姉弟子 松原のぶえさんへの思いも語った。
9月16日に発売される新曲「北の港」は、北山にとって2022年の「博多ぶるーす」以来、4年ぶりとなる原譲二作品だ。今回は珍しいことに、北島から3曲の作品を提示され、北山自身が歌う曲を選んだという。
「今回は人生の応援歌と、少し明るめのリズムのある曲、そして『北の港』の3曲を聴かせてもらって、『タケが一番好きなものを選びなさい』というスタイルだったんです。今まで1曲の歌をポンと渡されて、それを歌うという形だったのですが、今回のようなケースは初めてでした。3曲の中で、『北の港』がいちばん情景の浮かぶ曲だったんです。ですから、その世界観を歌ってみたいということでお願いして決まりました」

『北の港』は港町を舞台にした悲恋歌だが、厳しい冬を越えて明日へ向かおうとする「人間の力強さ」へと昇華されている。原譲二の紡ぐメジャー調のメロディと、遠山敦によるダイナミックな編曲が組み合わさることで、イントロから押し寄せるスケール感に圧倒される。

待望の師匠作品だったが、レコーディングでの北島の態度はこれまでとは大きく異なっていた。2018年の「津軽おとこ節」のレコーディングでは厳しい指示が飛び交ったが、今回は「自由に歌っていい、タケの思うように歌え」と委ねられる場面が多かったという。担当ディレクターは独立した北山の成長を北島が認めている証拠だと感じたというが、北山自身の心境は少し複雑だったようだ。
「少しずつ師匠からの指導が少なくて、それはそれなりに自分も成長したのかなと感じながらも、でも叱ってもらいたかったのに、あっけなく終わったというのはあります。昔はへこむぐらい、できるまでやらされていましたからね」
そう笑いながらも、年齢と経験を重ねた今だからこその、新たな指導があったことを明かした。
「今まではどちらかというと力強い曲が多いですから、しっかり声を出して、こぶしを回してしゃくり上げていこうという歌唱法だったんですが、今回はそういうのがなく、『タケももう20年過ぎたから、吐息を使っていこう』と。優しい言葉の中に、息を乗せた歌い方を教えてもらいました。50歳を過ぎて、さらに演歌を深めていく大事なポイントを教わったなと思っています」
さらに本作のカップリング曲「遠い故郷(ふるさと)」では、北山が「TAKESHI」名義で作曲を担当している。伊藤美和が北山自身の生い立ちをモチーフに作詞した詞に共鳴し、北山が故郷への思いを重ねてメロディをつけた。A面に北島作品、B面に自身の作品を収めることは彼の念願だった。
「A面が北島先生、カップリングが北山たけしという“夢のタッグ”を一つにするのは、もうこれからないと思ったんで、師匠に『カップリングは僕が作ります』と前もって直訴したんです。すごい嫌な顔をされて『お前が作るのか』と言われたんですけど、何度も会いに行ってお願いしました。本当に叶うとは思っていなかったんですが、初めて師匠の盤に私の曲が入ることになりました」


取材会では、9月13日に急死した姉弟子である松原のぶえさんについても沈痛な面持ちで語られた。北山は21歳で北島の付き人になった頃から、松原のステージの手伝いなどをしてきた。北山が2023年に独立して以降は、弟弟子の大江裕とのユニット「北島兄弟」と松原の3人で東北や北海道を回るジョイントコンサートを行っており、深い絆で結ばれていた。
「突然なことで、いまだにのぶえさんがいなくなったという感覚が全然ないんです。独立して小さな事務所からスタートしたときに、一緒に東北や北海道を3年続けて回るコンサートがあって。ファミリーのお姉さんでもあるんで、すっごく優しくて、歌も素晴らしくて。のぶえさんがいるとステージが暖かくなるんですよね。ずっと優しい、姉のような存在でした」
最後に会ったのは歌手協会のイベントだったと振り返る。
「コンサートがすごく楽しいので、『タケちゃん、また次回楽しみにしてるからね』と言っていただいた言葉が多分最後だと思います。今年も11月にまた東北で3日間ご一緒する予定で、久しぶりにお会いできるとすごく楽しみにしていたんですけど……。デビューしてからも『タケちゃん』って親しみを込めて呼んでいただいていました」

北島三郎の大舞台で使用される舞台装置「北島丸」で使われる大漁旗を特別に借りたという。恩師の作品でまたひとつ成長を目指す
哀しみを抱えながらも、北山は前を向く。「北の港」のミュージックビデオはリリース日の9月16日に公開される予定だ。この日、初めて完成した映像を鑑賞した北山は、その仕上がりに「素敵に仕上げていただきました」と喜んだ。また、同日には自身の公式YouTubeチャンネルも開設される。
「これを機に、演歌というものが厳しい時代になってきている中で、YouTubeを通じてファンの皆さんが演歌を覗き見したり、歌を聴きに行きたいなというものにつながればと。ショート動画や日常の動画を少しずつ公開していきたいなと思います」
大江とのユニット「北島兄弟」についても「北島という名前を弟子にくれたのは僕たちだけ。北島兄弟でいる以上は、師匠の歌を歌い継ぐ意味で継続してステージに立っていきたい」と語る。2004年のデビューから20年以上が経過し、歌手・北山たけしとしての今後の目標は明確だ。
「やはり、演歌の大きな根っこをこれから大事に歌っていきたいなと。時代に合わせた演歌やコラボなど、いろいろチャレンジはしてきたんですけれども、やはり王道の演歌を歌っていくのが一番。師匠もそうでしたから。基本に戻って、昭和から歌い継がれるような王道の演歌、王道の歌謡曲を、しっかりと歌っていきたいなという気持ちです」
2018年に北島兄弟として出場した年末の大舞台への思いを問われると、「紅白は毎年の目標であります。あの舞台にまた戻りたいです。一年間頑張って、支えてくださる皆様に恩返しができることを目標に、今年も叶わなければ来年という形で頑張っていきたい」と力強く結んだ。
2026年9月16日発売
北山たけし「北の港」

「北の港」
作詞・作曲/原 譲二 編曲/遠山 敦
c/w「遠い故郷(ふるさと)」
作詞/伊藤美和 作曲/TAKESHI 編曲/遠山 敦
テイチクエンタテインメント TECA-26049 ¥1,700(税込)





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