木村竜蔵、新川めぐみ

新川めぐみ、デビュー衣装や木村竜蔵との共演で魅せた20周年コンサート! 愛する地元で “感謝”を歌声に乗せて

東京・北区の王子エリア。JR京浜東北線、東京メトロ南北線、都電荒川線の3線が利用可能で、線路を挟んで西側には江戸時代から続く桜の名所・飛鳥山公園があり、園内には渋沢栄一の旧邸が残っている。一方、東側には公共施設や繁華街が広がり、人々の活気にあふれている。

2026年9月12日、デビュー20周年を迎えた新川めぐみは、そんな自然と賑わいが調和する落ち着いた街にいた。駅前の文化複合施設「北とぴあ つつじホール」にて、自身の記念すべきアニバーサリーコンサートを開催したのだ。

新川めぐみ

22歳の“ちあき まみ”。原点の衣装で幕を開けた20年の軌跡

2006年に「ちあき まみ」としてデビューして以来、「秋吉真実」、現在の「新川めぐみ」へと改名を経て歩んできた20年。その道のりは決して平坦なものではなかったが、この日のステージは、長年支え続けてくれた家族やファンへ感謝し、歌で恩返しをするという彼女の強い意志に満ちていた。

新川の歌人生は、1987年、3歳の時に地元・北区で開催された伝統の「赤羽馬鹿祭り」のステージで歌い特別賞を受賞したことから始まる。以降、“歌うまちびっ子”として数々のオーディション番組に出演し、2000年、16歳の時には日本テレビ『ルックルックこんにちは 女子高生大会』でA賞を受賞。そして2006年8月、22歳で念願のプロデビューを果たした。

新川めぐみ

「新川めぐみ デビュー20周年記念コンサート~感謝~」の開演を知らせるベルが鳴り、め組バンドによる生演奏がスタートすると、司会の牧野尚之によるタイトルコールに合わせて新川がステージに現れた。大きな拍手に迎えられた彼女が身を包んでいたのは、20年前のデビュー当時に着ていた白いパンツルックの衣装だった。

1曲目はデビュー曲『ふられちゃったよ』を、続く2曲目には2017年、「新川めぐみ」に改名した最初の曲『待ちわびて』が披露された。過去と現在を結ぶ選曲。この2曲を冒頭に並べたのは、自身が歩んできた波乱万丈の軌跡と誇り、そしてここからまた新たに歩みを進めるという覚悟が込められていた。

新川めぐみ

震災の試練と改名。つらい経験の先に巡り合った『三陸海岸』

今日という日を無事に迎えられたことに感謝の気持ちでいっぱいとなった新川は、ふと表情を和らげ、デビュー5年目の記憶を辿り始めた。2011年、東日本大震災が発生した年だ。「あの時は茨城県にいました。ちょうどお仕事が終わって、車で帰る途中。ひとつ目の信号に差し掛かったときに、グラグラと大きな揺れに見舞われました。1週間後に入っていた岩手県でのお仕事もなくなって……。(東北へお邪魔する機会もなくなり)それもショックでした」

新川めぐみ

新川めぐみ

2011年は、「秋吉真実」に改名し、彼女にとって心機一転の船出となった年でもあった。

つらい経験から8年後、被災地である三陸を舞台にした作品に巡り合ったエピソードについて触れると、新川は失恋を癒すための一人旅を描いた王道演歌『三陸海岸』を歌い、続いて、能登の海岸を舞台に亡き人を想う15周年記念曲『さくら貝海岸』を披露。『北の旅人』『北の螢』といった名曲カバーで第一部の前半を締めくくった。

新川めぐみ

大人の愛を歌うドレス姿から一転。“成人式”の振袖で魅せた力強い男唄

濃紺と紫のグラデーションが美しいロングドレスに着替えて再登場すると、ステージは大人びた愛の世界へと一変する。『人形の家』『ベサメムーチョ』『ラヴ・イズ・オーヴァー』と、失恋や別れをテーマにした名曲をハスキーで情感豊かな声で歌い継いでいく。

新川めぐみ

新川めぐみ

新川めぐみ

合間のトークでは、司会の牧野尚之による温かく軽妙な進行が会場を和ませた。「見られることで若さを保てる」という健康ブームへの独自の解釈や、AI時代の到来を嘆くユーモアたっぷりのエピソードトークが、客席の自然な笑顔を引き出し、記念コンサートをよりリラックスした楽しい時間へと導いていた。

新川めぐみ

新川めぐみ

第一部の終盤は、信じていた男性に捨てられた悲しみを濃い化粧で隠す女性の心理を描いた前作『哀しい口紅』、そしてファンの間で根強い人気を誇るカップリング曲『夜の海峡』から、ちあきなおみの『かもめの街』へと続き、深い余韻を残した。

新川めぐみ

新川めぐみ

休憩を挟んだ第二部は、20周年の節目を成人式に見立て、鮮やかなピンクの振袖姿で登場。秋吉真実時代の楽曲から、2011年の『流氷夜噺し』(日本クラウン移籍第1弾シングル)と、2014年の『風流・江戸の月』(テイチクエンタテインメント移籍第1弾シングル)の2曲を届けた。

新川めぐみ

「私のキャラだと、少し粋な感じが似合うかもしれないですけど……今度は私のお酒が大好きな一面を。お酒を飲むと、気持ちが少し楽になりますよね」

新川めぐみ

新川めぐみ

そう語りかけると、可憐な振袖姿とは裏腹に、酒に慰めを求める男の心情をストレートに歌った吉幾三の『酒よ』を披露。さらには故郷の風景と母への想いを歌った、同じく吉の『津軽平野』、荒海で生きる男たちの絆と哀愁を描いた鳥羽一郎の『兄弟船』といった力強い男唄やふるさと唄を堂々と歌い、ボーカリストとしての表現の幅を見せつけた。

新曲『あなたの部屋』の作家・木村竜蔵が明かす楽曲の舞台裏

ここで、スペシャルゲストとして新川の最新曲『あなたの部屋』を手掛けた木村竜蔵が花束を持ってステージに登場する。『兄弟船』を歌った直後に鳥羽一郎を父に持つ木村が登場するという心憎い演出に、会場の拍手も熱を帯びる。

「本当に木村竜蔵先生の作品が大好きで」と笑顔で語る新川に対し、木村も「流行るとか売れるとかも大事ですが、やっぱり歌い手さんが好きになってくれることが一番大事。新川さんからリクエストをいただいて、歌っていただけることがとてもうれしくて……。自分の才能に感謝というか、『自称・日本で一番顔がいい作曲家』としてやらせていただいています」と、ユーモアを交えながらも誠実に応じる。

木村竜蔵、新川めぐみ

木村竜蔵、新川めぐみ

シンガーソングライターであり、現在は作家としても忙しい木村だが、新曲の制作背景については、「ディレクターさんとのお話もありましたが、何回も何回も新川さんのいろんな曲を聞いて、どういう楽曲が一番この声を活かせるかを考えた時に、なんとなく(メロディが)降りてきたというか」と、クリエイターとして彼女の声に徹底的に向き合ったことを明かした。

純白のドレスで届ける新曲。優しく重なり合う二人のハーモニー

新川が衣装替えに向かう間、木村は実弟である演歌歌手・木村徹二とのユニット・竜徹日記の楽曲をアコースティックギターの弾き語りで披露。アルバム『鏡花水月』から、『花は笑う』と『誰かのヒーロー』を熱唱した。

木村竜蔵

木村竜蔵

木村竜蔵

一度咲いた花は枯れるまでただ人を笑顔にするだけと、花の一生に人生を重ねた一曲。そして、ほんの少しでいいから、誰かの悲しみを癒し、笑顔にさせるヒーローになれたらと願う一曲。この二曲は20年間歌い続けてきた新川へのエールのようだった。

木村竜蔵、新川めぐみ

木村竜蔵、新川めぐみ

木村竜蔵による温かくも力強い歌声が会場を魅了すると、純白のウェディングドレスに着替え、ファーショールを羽織った新川がステージに戻ってきた。

木村のギター伴奏とコーラスに支えられ届けられたのは、デビュー20周年記念曲『あなたの部屋』だった。

同曲は彼女のデビュー20周年を飾るにふさわしい、心揺さぶる珠玉のバラードだ。亡き恋人への想いを未だに抱える女性が、ひとり残された部屋で「会いたいよ 今すぐにでも」と面影を探す切ない姿が描かれている。しかし、ただ悲しいだけの歌ではない。癒えることのない喪失感を抱えながらも、やがて「そろそろ進まなくちゃね」と、静かに立ち上がろうとする。今の新川だからこそ表現できる、深い慈愛と人生の機微が滲む一曲だ。

木村竜蔵、新川めぐみ

木村竜蔵、新川めぐみ

ステージでは木村の優しいギターの音色とハモリ、新川の哀愁を帯びたハスキーボイスが重なり合い、深く静かな感動が会場を包み込んだ。

続いて歌われた同作のカップリング曲『夜更けのグラス』は、打って変わってビートの効いたリズミカルな楽曲。「夜更けに過去の男たちを思い浮かべ、男なんてこりごりだわ、という大人の女性の歌です」という新川の紹介通り、孤独の中にもほんの少しの強がりを見せるスタイリッシュな世界観を、艶やかに表現してみせた。

「負けない。逃げない。諦めない」 愛する地元で誓った決意

コンサートは終盤へ向かう。3歳の時に地元の「赤羽馬鹿祭り」でグランプリを獲得し、その後も数々の大会に出場しては「賞品で実家の電化製品が全部そろうほど親孝行だった」という微笑ましいエピソードで会場をリラックスさせると、高校生時代にテレビ番組『ルックルックこんにちは』の大会で賞を獲得した原点の曲『ノラ』、そして『糸』『恋人よ』と、人と人との繋がりや愛を確かめるようなカバー曲を歌い継ぐ。

新川めぐみ

「今日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき本当にありがとうございます。デビューしてから20年経ちましたが、ずっと支えていただきました。本当になんかこれといってこう、大物に……(苦笑)、なんの恩返しもできていません」

彼女にとっての“恩返し”。それは、これからも歌い続け、より大きく羽ばたくことだった。新川は少し言葉を探すように、しかし確かな口調で、客席の一人ひとりに語りかける。

「これからも新川めぐみのモットーは『負けない。逃げない。諦めない』。この言葉です。これからも絶対に諦めません。生きている限り。どうぞ皆様、今後とも支えてください!!  よろしくお願いいたします!」

新川めぐみ

新川めぐみ

その言葉を受け継ぐように、ステージ外から牧野のナレーションが響き渡る。

「生を受けた当時、日本はバブル経済に入り、芸能界、歌謡界に憧れていた一人の少女は歌の大会などで数多くのトロフィーや賞状を手にし、プロ歌手になる以前に、すでにテレビやマスコミで注目を集めていました。その波に乗って華々しくデビューを果たせたものの、スター街道への道のりははるか遠く、正直今も道半ばでしかありません」

新川めぐみ

静かに流れるイントロに乗せ、代読されるメッセージが、新川の胸の内を代弁していく。

「20周年コンサートの計画に入る段階で、新川めぐみさんは言いました。まだまだこれまでの応援、皆様のご支援への恩返しは叶っていませんが、しかし、20年の節目のコンサートは、有楽町でも渋谷でもなく、地元を大切に北とぴあのホールで開催したいと。今日のお礼と感謝は歌でお返しするしかありません」

ナレーションが終わり、新川が本編の最後に選んだのは、島津亜矢の『感謝状~母へのメッセージ~』だった。これまで無償の愛を注いでくれた家族へ、そして北区をはじめとするファンへ贈る“感謝状”。すべての感謝を歌声に乗せ、丁寧に、そして力強く歌い切った。

新川めぐみ

アンコールではファーを外し、レース地のボレロを羽織ったスタイルでステージの中央から現れると、『喜びも悲しみも幾年月』を披露した。日本各地の孤島や岬を転々とする「灯台守」の夫婦と家族の波乱万丈な25年間の歩みを描いた名作映画の主題歌。戦中・戦後の激動期に、日本の繁栄を支えた名もなき人々の生き様の歌である。

新川めぐみ

新川めぐみ

まさに、新川の「負けない。逃げない。諦めない」というモットーそのもの。この言葉を胸に、3つの名前で刻んできた20年の喜怒哀楽。そのすべてを優しく包み込み、これからも歌い続けていくという彼女の強い決意が北区のホールに深く刻み込まれた。そして、最後の歌を大熱唱した新川めぐみは安堵の表情を浮かべると、「やった~ !歌い切った!」 という未来への自信に満ちた大きな笑顔をみせた。

新川めぐみ

新川めぐみ

セットリスト
新川めぐみ デビュー20周年記念コンサート 〜感謝〜
【第1部】

M1 ふられちゃったよ
M2 待ちわびて
M3 三陸海岸
M4 さくら貝海岸
M5 北の旅人※
M6 北の螢※
M7 人形の家※
M8 ベサメムーチョ※
M9 ラヴ・イズ・オーヴァー※
M10 哀しい口紅
M11 夜の海峡
M12 かもめの街※

【第2部】
M13 流氷夜噺し
M14 風流・江戸の月
M15 酒よ※
M16 津軽平野※
M17 兄弟船※
M18 あなたの部屋
M19 夜更けのグラス
M20 ノラ※
M21 糸※
M22 恋人よ※
M23 感謝状~母へのメッセージ~※
<アンコール>
M24 喜びも悲しみも幾年月※
※はカバー

新川めぐみ

文・写真=左近俊彦


2026年5月27日発売
新川めぐみ「あなたの部屋」
新川めぐみ

「あなたの部屋」
作詩/木村竜蔵  作曲/木村竜蔵  編曲/竹内弘一
c/w「夜更けのグラス」
作詩/さくらちさと 作曲/木村竜蔵 編曲/竹内弘一
日本クラウン CRCN-8845 ¥1,550(税込)

【Amazon】あなたの部屋/夜更けのグラス – 新川めぐみ

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