
歌手活動45年の伍代夏子が“夏子の日”に「和心祭」を開催。新曲『流転の花』を披露し、不屈の“武士魂”で50周年へ
伍代夏子が7月25日、東京・千代田区のホテルニューオータニ東京で3回目となる「和心祭~和気愛愛~」を開催した。今年は1982年7月のデビューから歌手活動45周年を迎える節目の年。伍代は発売されたばかりの45周年記念シングルで、木村竜蔵と初タッグを組んだ『流転の花』を披露し、終演後には、次なる50周年に向けて「ドカンと大きなことをやりたい」と晴れやかな笑顔を見せた。

華やかさと日本文化の幕開け。綾小路きみまろとの”和気愛愛”
「和心祭」とは、7月25日(なつこ)が2023年に一般社団法人 日本記念日協会より「伍代夏子の日」として認定・登録されたことを受け、スタートした“お祭り”。「小さい頃から演歌と着物と時代劇が大好きな子供でした。日本が誇る美しい和文化を継承し、より多くの方に親しんでもらいたい」。そんな伍代の想いから企画され、今年は3回目の開催となった。



「和心祭」という巨大な筆文字が掲げられたステージ。真紅と青の照明が交錯する中、和楽器の生演奏で“お祭り”の本番は幕を開けた。腹の底に響く太鼓と三味線の音色が会場の空気を引き締めると、艶やかな紫色の着物に日本髪を結い、芸者をイメージした伍代が登場。『唄祭り八百八丁』で粋な歌声を響かせると、社中の踊り子たちが「夏子」と書かれたうちわを手に華を添えた。


「皆様に支えられ、こうして3回目の和心祭を開催できますことをうれしく思っています。“わしん”とは、和の心と書きます。一人一人の心が調和することです。一年に一度、7月25日の“夏子の日”に、皆様の心が“和気愛愛”と和んでいただく一日となりますように」


そう挨拶をすると、ここで特別ゲストとして司会者が紹介された。現れたのは「あれから40年」の漫談で知られる綾小路きみまろだ。実はきみまろが52歳でブレイクする前、約7年間にわたって伍代の専属司会を務めていた。「あの日があるから、今日があるんだよ」と、互いの苦労を知るからこその労いと、愛ある毒舌の掛け合いに、客席からは絶えず爆笑と温かな拍手が巻き起こった。

芸者姿の伍代が日本調歌謡を情緒たっぷりと
ステージは四幕で構成された。第一幕では五月みどりの「一週間に十日来い」や久保幸江の「ヤットン節」など昭和を代表するお座敷ソング、第二幕では、波と松が描かれた黒い着物で「さのさ」「大江戸出世小唄」といった日本調歌謡を情緒たっぷりに歌唱した。

また第三幕では、東京大学3年生、東大うどん部にも所属する鍵村太陽さんが、きみまろの質問に答える形で、「なぜ蕎麦は『せいろ』で『上げ底』で提供されるのか」を紐解く和文化豆知識のコーナーや、伍代が長年支援を続ける被災地(宮城、福島、石川、熊本)のアンテナショップ担当者によるご当地クイズなどが行われ、学びと交流の時間が流れた。

被災地支援などのチャリティーは、夫・杉良太郎と共に、伍代がライフワークとしている。和心祭もその一つだ。
「災害が増えるなか、まずは現状を知っていただくことが大切」という伍代。陸前高田から始まったペットの同伴避難の推進や、保護犬・保護猫の譲渡活動にも触れ、「『もういいよ』と言われるまで、一つ一つ真剣に続けていきたい」と支援の輪を広げる覚悟を口にした。


七転び八起きで歌う新曲『流転の花』の祈り
そして、いよいよ第四幕。ここでは、歌手生活45周年の歩みをたどるステージが展開された。昨年に続いて参加した尺八奏者の前田健志が奏でる哀愁を帯びた音色に乗せて、伍代は『いのちの砂時計』『暁』といった近年の作品を歌い紡いでいく。



さらに「三味線とお琴を入れた楽曲をつくってほしい」と提案して誕生した前作『しゃんしゃん牡丹』で会場を盛り上げた。

ステージの空気が変わったのは、ステージ脇のスクリーンに新曲『流転の花』を紹介するビデオが流れた時だ。
「今回、本当に素晴らしい作品をいただきました。作曲家の木村竜蔵さんには、『輪廻転生』や『七転び八起き』といったテーマだけをお伝えして、制作をお願いしたんです。私は趣味で写真を撮るのですが、例えば公園でトンボを撮っていても、明日また同じ種類のトンボに会えたとしても、それは昨日と同じ個体ではないですよね。そういった小さな虫の命や、一度枯れたように見えてもまた花を咲かせる植物の姿を見ていると、それぞれが子孫を残すためだけに懸命に生きていることを強く感じます。そうした生命のサイクルや営みを歌にしてほしいとお願いしました」

絶えず移り変わる人生を、厳しい自然界を生き抜く花に重ね合わせた本作。伍代自身、1982年7月に「星ひろみ」としてデビューしてから、現在の名にたどり着くまでに3回の改名を経験。まったく売れず、レコード会社でアルバイトをしながら八代亜紀の担当スタッフとして身を粉にして働いた時代もあった。さらには、歌手にとって致命的とも言える喉のジストニア(けいれん性発声障害)をはじめ、病魔とも闘ってきた。
そんな伍代だからこそ歌える新曲は、鳥羽一郎を父に持つ新進気鋭の音楽家・木村竜蔵が手がけ、希望を持ち続けながら一歩踏み出すすべての人へ贈る応援歌となった。




輪廻転生と歌手活動45年の軌跡
スクリーンに、「涙は恵みの雨に」「悲しみは優しさへ変えて」「何度でも…」「咲かせてみせましょう」というメッセージが映し出されると、『流転の花』のイントロが流れる。舞台には、真紅と漆黒のコントラストが目を引くアバンギャルドな振袖姿の伍代が現れた。

実はこの着物、伍代自身がインターネットで探し出した成人式用にデザインされた振袖だという。近年、コロナ禍などの影響もあり着物の作り手や職人が減少し、ステージ映えする重厚な着物に出会うことが難しくなっている。そんな現状のなか彼女が見つけ出したのが、ウエディングドレスデザイナーの盛田勇氏が立ち上げたブランド「ISAMU MORITA」の作品だった。これまでに2000着以上のドレスを制作した盛田氏は、様々な国を渡り歩いたことで得たインスピレーションをデザインに取り入れているという。

「この『流転の花』という難しいタイトルに合わせて、衣装もイメージに合うものを一生懸命探し、やっとのことで間に合わせました」
伝統を愛しながらも、失われゆく着物文化に新しい感性の息吹を取り入れ、自らのステージ衣装として着こなす。その姿は、形を変えながらも脈々と受け継がれる文化の輪廻転生を体現しているようだった。




「時には雨が 花を打ち散らす 地中の根には 恵の雨となる」(「流転の花」歌詞より)
冒頭から引きこまれる生へのたくましさと再生。伍代は円熟した歌声で、観客に『流転の花』を届けると、“伍代夏子”を世に送り出した原点へと回帰する。改名して3作目となり、NHK紅白歌合戦初出場の切符を掴み取った、恩師である故・市川昭介氏による『忍ぶ雨』(1990年)の歌唱だ。

さらに、長年憧れ続けていた故・船村徹氏の『肱川あらし』(2017年)を熱唱。かつては専属契約(レーベル)の厚い壁があり、なかなか曲を書いてもらうことができなかった時代もあった。それでも諦めきれず直訴して実現したという、偉大な作曲家からの最初で最後の特別な提供曲だった。
伍代は愛媛県大洲市のドラマチックな自然現象を歌い上げる壮大な船村メロディーを、深い感謝と祈りを込めて歌い切ると、「和心祭」を今後も毎年7月25日に開催し、日本の素晴らしい伝統文化を次世代へつないでいく決意を表明。最後は定番曲「夏子音頭」で賑やかにステージを飾った。


「ドカンと大きく」 不屈の武士魂で目指す50周年
「人生は良い方にも悪い方にも転んでいく移ろいやすいものだけれども、『流転の花』では、『どんな場所や環境でも花を咲かせることはできる』『人生はまだまだ捨てたもんじゃないんだよ』というメッセージを、特にシニア世代の皆さんにお伝えしたいという想いを込めました。私の歌手人生そのものが“七転び八起き”の精神でやってきましたから。以前、ある方に『あなたの前世は武士のようだ』と言われたことがあるのですが、それを聞いた時、自分でも『やっぱりそうか』と納得してしまいました。私は負けて諦めることが一番嫌いで、どうにかして勝てるように頑張る、という生き方をしてきました。ですから、この『流転の花』は、私にとって心からの叫びのような、本当に納得のいくメッセージソングなんです。(今日のステージは)親族も見に来ていたので、良いところを見せようと、かなり力が入ってしまいましたね(笑)」

ステージを終えた伍代が清々しい笑顔を見せると、来る50周年に向けての決意を述べた。
「あと5年後となりますが、正直なところ、今は本当に息も絶え絶えで『どうなることか』と思う時もあります。それでも、もちろん頑張ります。毎年開催しているこの『和心祭』も続けていきますし、50周年は半世紀という大きな節目ですから、何かドカンと大きな区切りになるようなことを企画したいですね。私がこの世を去った後でも、何か形として残るようなことを成し遂げたいと思っています」
日本の伝統を慈しみ、人との縁を尊び、決して諦めない“武士”の魂を持った伍代夏子は、これからも歌謡界の第一線で、何度でも新しく、美しく気高い花を咲かせ続けるだろう。
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2026年7月22日発売
歌手活動45周年シングル
伍代夏子「流転の花」

「流転の花」
作詞/木村竜蔵 作曲/木村竜蔵 編曲/遠山 敦
c/w「一枚の写真」(NHKラジオ深夜便「深夜便のうた」)
作詞/朝倉 翔 作曲/藤原いくろう 編曲/藤原いくろう
ソニー・ミュージックレーベルズ MHCL-3163 ¥1,600(税込)
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