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山口瑠美、初夏の“奇跡のそよ風ライブ”で魅せた「人生のドキュメンタリー」。満を持して初披露した「ねえあんた」とサンスベリアの奇跡

山口瑠美が6月14日、東京・港区のライブレストラン 南青山MANDALAにて特別なライブを開催。「山口瑠美 Premium Live2026~June breeze~ in 南青山MANDALA」と題し、さわやかで涼しい初夏のそよ風(June breeze)を吹かせた。

山口は昨年8月、大貫祐一郎(ピアノ)と齊藤隆広(ギター)の二人のサポートを受け、同会場でライブを開催。大好評だったことから彼女自身も「来年の夏、またこの3人でステージができたら」と願っていた。しかし、名門ライブハウスの土日のスケジュールは2〜3年先まで埋まってしまっていた。ところが、運良く日程が空き、さらに多忙な大貫と齊藤のスケジュールも合致したという。山口自身が「今日は奇跡のライブです!」と語るほど、特別な時間となった。

奇跡のライブは「天気雨」で開幕。ドキュメンタリーの扉が開く

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開演時刻。大貫のピアノと齊藤のギターによる「思い出のサンフランシスコ」の洗練されたインストゥルメンタルが流れる中、着物姿の山口がステージに姿を現した。

1曲目は、「天気雨」。人生の悲喜こもごもを親子の情愛と絡めて描いた、どこか懐かしい歌謡曲テイストの作品だ。制作段階から山口自身が参加した同曲は、母の声、父の言葉を胸に、生きることの答えを懸命に探しているひとりの女性の心情を歌っている。

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リリースは2020年8月。時はコロナ禍の真っ最中。新曲発表会は無観客で行わざるを得ない不運にも見舞われたが、歌手人生の大切な扉を開く一曲となり、山口は今もライブ前、会場のBGMとしてインストゥルメンタルを流している。

この大切な曲を、ピアノとアコースティックギターという最小限の編成に乗せ、言葉の輪郭を確かめるように丁寧に歌い出していった。

大貫祐一郎

ピアニスト・大貫祐一郎

齊藤隆広

ギタリスト・齊藤隆広

歌い終わると、「日本一忙しいピアニスト・大貫さんと、日本一忙しいギタリスト・齊藤さん。お二人のスケジュールも6月14日だけ奇跡的にパッと空いていまして」と笑顔を見せた山口。長年の付き合いである齊藤が俳優の大泉洋に似ていることから「ようちゃん」と呼ぶと、大貫からは「大貫祐一郎なんで、『ゆうちゃん』で今日はお願いします」と返されるが、「ええーっ!? (気安く)『ゆうちゃん』なんて呼べないですよ!」と笑い合う。日本屈指のミュージシャンたちと作り上げる上質な音楽空間でありながら、山口の飾らないMCによって、会場はご近所の集まりのような温かな空気に包まれていく。

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100曲のリクエストと、働く母へ捧げた「ヨイトマケの唄」

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今回のセットリストは、昨年同様、後援会を通じて寄せられた約100曲のリクエストをもとに選曲された。2曲目には、故郷・山口県を舞台にした「雨の錦帯橋」を、齊藤がこの日のためにアレンジした“マンダラ・バージョン”で披露。続いて、「さくら草」のカップリングであり当初表題曲になる予定だったという「海螢」、都はるみのカバー「雨やどり」、そして最新曲「真昼の月」と、楽曲ごとに色を変えながらその表現力の深さを示していく。

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前半のラストに選ばれたのは、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」だった。昨年は吉幾三の「情炎」を鬼気迫る表現力で歌い上げたが、果たして・・・。

「母は看護師として、ずっと私の生活を守ってくれました。いつか恩返しがしたいと思って今日までやってきました。これから歌う曲は、貧しい時代の中、それでもお母さんの働く姿、一生懸命に生きる姿に腐ることなく、命を輝かせて生きていった、そんなある男性の物語です。どうしても、このお二人の演奏で歌わせていただきたいと選びました」

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齊藤のアコースティックギターのリードで静かに始まった歌唱は、次第に熱を帯びていく。終盤、齊藤がエレキギターをかき鳴らし壮大なフィナーレを迎える頃には、山口の声は歌という枠を超え、魂を削るような凄みを放ち、身震いするほどの余韻を会場に残した。盛大な拍手を山口に送る者。拍手を忘れるほど脱力する者。それほどの凄みを見せると、山口は前半のステージを終えた。

シルバードレスのための筋トレと、父への後悔

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後半は、山口がシルバーのスパンコールでできた煌びやかなドレス姿で登場。アメリカの伝統的な娼婦の歌である「朝日楼」を披露した。同曲は昨年のライブでも後半の幕開けに選曲した一曲だ。

演じるように退廃的な色気を漂わせながら披露した山口。続く山口百恵の「ロックンロール・ウィドウ」では、観客と一緒になってライブハウスの空気を揺らした。

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笑顔に戻った山口は、ここで衣装について話し出し、4月に行ったライブの際に、今回のプレミアムライブでは昨年同様、ドレスを着用すると宣言していたことに触れる。

昨年は補整下着でスリム化を目指したものの、汗疹ができて断念したため、今年は「このドレスを着るために、ランニングとジムでの筋トレを行いました」と明かす。

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「でも、余計なところが落ちてしまいました。昨年は“あせも”、今年は“にせもの”です(笑)」

近寄りがたいほどのオーラを放って歌い終えた直後に、自らの日常をあっけらかんと語るこの振り幅も、彼女の魅力の一つだった。

山口瑠美

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日本酒ソムリエ(唎酒師)の資格を持つ山口による「お酒の歌」のコーナーでは、自らが作詞したオリジナル曲「お酒の歌」に続き、初恋の人と語る石原裕次郎の「ブランデーグラス」を歌唱。さらに昨年も選曲した裕次郎の「粋な別れ」を、大人の夜の匂いを感じさせる歌声で届けた。

虚構を凌駕する悲哀。満を持して初披露した「ねえあんた」

そして、この日のライブの最も深い核心となる瞬間が訪れる。ちあきなおみが1974年にリリースした「ねえあんた」だ。

この楽曲は、ちあきの芸能生活十五周年記念リサイタルのために作られたもの。遊女と客との残酷な愛が描かれている。歌の主人公が憑依したような、演じることすら超越したちあきの名唱によって歌い継がれてきた、極めて難易度の高い作品だ。山口も過去に何度となくリクエストを受けてきたが、「この曲を歌うのはまだ早い」と、10年ほど避けてきたという。まもなくデビュー27年目を迎えるこの日、ついに初挑戦となった。

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大貫のピアノが静かにイントロを奏で始めると、会場の空気は一変する。山口の歌声は、与えられた譜面をなぞるだけのものではなかった。決して報われることのない遊女の孤独と悲哀が、山口自身の表現力と重なり合う。本物の歌手とは、虚構の物語を凌駕し、聴く者の心に原風景を立ち上げさせる存在であることに気づく。

10年の歳月を経て封印を解いたこの日の「ねえあんた」は、その事実をまざまざと見せつけ、歌手・山口瑠美の真髄を証明する圧巻のパフォーマンスだった。

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サンスベリアの奇跡と、母との「35周年」の約束

ライブは終盤へ。初めて山口のライブを観る観客に向けて、15歳で母と共に上京し、市川昭介氏の門下生となった歩みを振り返る。「成功するまで帰ってくるな」と、背中を押してくれた、今は亡き父の言葉を紹介すると、「真昼の月」のカップリング曲「旅路、その先へ」を情感たっぷりに歌唱した。そして、デビュー曲「音頭水戸黄門”~あゝ人生に涙あり」で本編を力強く締めくくった。

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アンコールを求める手拍子に応えて再びステージに登場した山口は、不思議な出来事を話し始めた。

「SNSでも言わなかったんですけど、我が家に『サンスベリア』っていう観葉植物があるんです。ネットで調べたら『20年に1回咲くことがあるかも』って書いてあって。なんと今年、6月11日にうちのサンスベリアに花が咲いたんです! きっといいことがあるなって」

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そして、上京以来ずっと支え続けてくれた母について語る。15歳で上京した後、仕事以外では一度も帰郷しなかった山口だったが、25周年記念コンサートを故郷・山口県で開催し、1000人の観客の前で歌った際、ついに自宅の敷居をまたぐことができたという。

「うちの母は82歳まで現役で看護師をして、私を守ってくれました。『25周年までは頑張るね』と言っていた母が、25周年コンサートのあとに『30年(周年)も見たいな』と言ってくれて。そしてついこの間、足の手術の抜糸に行った日に『骨が若い人みたいに元気だ』と言われたそうで、『私、30年どころか35年も見られるかもしれない』って言ってくれたんです。母がいて、皆様がいてくださるからこそ、私は歌い続けることができます」

「皆さんにもいいことがありますように」と祈りを込め、最後に届けられたのは、自身が作詞し、齊藤が作曲を手掛けた「この道」。“二人で 歩こう”と、母を想う作品だが、それはファンとの歩みでもあった。

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今回のプレミアムライブ。奇跡的に実現した初夏のステージのそこにあったのは、凄みと親しみやすさが同居する極上のエンターテインメントであり、一人の女性が歩んできた「人生のドキュメンタリー」そのものだった。母と誓った“35周年”へ向けて、山口瑠美の旅路は”そよ風”のようにふわりふわり、そよそよと続く。

なお、7月27日(土)には、「山口瑠美27周年シークレットパーティ」(会場:ジョイサウンド品川港南店)が開催される。詳細は山口瑠美公式ホームページへ。

 


2024年9月18日発売
デビュー25周年記念シングル
山口瑠美「真昼の月」
山口瑠美

「真昼の月」
作詞/もりちよこ 作曲/金田一郎 編曲/佐藤和豊
c/w「旅路、その先へ」
作詞/もりちよこ 作曲/金田一郎 編曲/佐藤和豊
テイチクエンタテインメント TECA-24054 ¥1,500(税込)