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飛雄馬

熊本・西原村に響いた希望の歌声 — 熊本地震から10年、飛雄馬が届ける復興への想いと新曲「かぞいろ」—

4月18日・19日の2日間、熊本県阿蘇郡西原村で復興をテーマにした二つのステージが行われた。2016年の熊本地震から10年という節目の年。地域の人々にとっても、そして同村出身で「西原村PR大使」を務める若手歌手・飛雄馬(ひゅうま)にとっても、これまでの歩みを確かめ合う特別な時間となった。

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12歳の少年が音楽に救われた日

熊本市中心部から車で東へ約20km。阿蘇外輪山の西麓に位置する西原村は、人口約6500人の自然豊かな村だ。熊本空港から車で10分ほどの距離にあり、特産品のさつまいも、白糸の滝、そして夕日が美しく見える丘など、水と緑とひかりに恵まれた美しい故郷である。

しかし10年前の4月、こののどかな村を未曾有の災害が襲った。村の中心を東西に流れる布田川に由来する「布田川断層帯」が活動の中心となり、西原村では震度7を記録。村内の約56%にあたる1,377棟の家屋が全半壊しただけでなく、地域を支える農業の基盤である畑にも甚大な被害をもたらした。

当時12歳だった飛雄馬は、中学校に入学した直後、まだ新しい教科書すら配られていない状況で被災した。先の見えない生活。そんな中、村へ慰問に訪れたアーティストたちの歌声が、少年の運命を変えることになる。

「長渕剛さんが『気張いやんせ』を、熊本出身で『帰らんちゃよか』で知られる関島秀樹さんが『がんばる君のために』を歌いに来てくださいました。当時、特別歌に興味があったわけではない自分も心を打たれ、深く励まされたんです」

その日、飛雄馬の心に「自分もいつか、歌で誰かを勇気づけたい」という確かな灯りがともった。

復興の歩みを象徴する「感謝祭」のステージ

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4月18日は、地震後に新しく建てられた「西原村総合体育館」を会場に『西原村復興感謝祭』が開催された。屋外ではカレーの販売や豚汁の無料配布なども行われ、子どもからお年寄りまで多くの笑顔が溢れ、かつての賑わいを取り戻した村の姿があった。開会式では、力強い書道パフォーマンスで描かれた巨大な「感謝」の文字がステージに掲げられ、吉井誠村長が「多くの支援への感謝と、元気を取り戻した西原村を見てほしい」と力強く語った。

その「感謝」の文字を背負うようにステージに立った飛雄馬は、白とゴールドの華やかな衣装に身を包み、万感の思いを込めてマイクを握った。

「あれから10年は、あっという間でした」

かつて震災後に音楽から元気をもらっていた少年が、10年の時を経て、 “歌を届ける側”として立っていた。

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飛雄馬のステージに華を添えたのは、西原村にあるダンススタジオ「SIJアカデミー」(ダンス界のレジェンド「坂見誠二氏」がプロデュース)のAKARIcrewの皆さん

恩師との絆、そして未来へ続く「大切畑ダム」

翌19日は、飛雄馬自身が企画・主催する『復興記念ライブ(西原村PR大使 飛雄馬 歌謡ショー)』が開催された。会場に選んだのは、阿蘇・俵山の麓にある「風流(カザル)カフェ」に隣接する「風流ホール」。床に桜の木が使用され、歌声が柔らかく響くこの場所は、飛雄馬にとって特別な思い出が詰まった場所だ。

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オーナーの吉岡潤先生は、飛雄馬の中学時代の恩師。学生時代からカフェに遊びに行っては様々な相談にのってもらい、夏には併設された無農薬ブルーベリー農園でアルバイトをしたこともあるという。

この日のライブでは、吉岡先生がウクレレで飛び入り参加。赤いシャツとスパンコールのベストを着こなした飛雄馬の歌声と、恩師の柔らかなウクレレの音色が重なり合い、過去と現在が交差するような胸を打つセッションが実現。雨の中にもかかわらず駆けつけた多くのファンは、その温もりに満ちたステージに惜しみない拍手を送った。

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「文化創造館 風流(カザル)」のオーナーでもあるり、中学校時代の恩師・吉岡潤先生がウクレレで飛雄馬のステージへ。

風流カフェのすぐ近くには、西原村の復興の象徴とも言える「大切畑(おおきりはた)ダム」がある。江戸時代にルーツを持ち、農業用水として地域を潤してきたこのダムも、熊本地震で甚大な被害を受け使用不可となった。かつては春になると、湖面に美しい桜が映り込む名所として村民に愛されていた場所だ。

現在、大規模な修復工事が進められており、今年の12月頃には工事完了の予定だ。巨大な堤体が徐々に形を取り戻していくその壮大な景色を前に、飛雄馬は故郷の完全な復興への祈りを込めて歌声を響かせた。

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風流(カザル)からは、現在、復旧工事中の大切畑ダムが見える。

 家族への感謝を歌う新曲「かぞいろ」

この2日間のステージで、飛雄馬が歌ったのはデビュー曲の「天使の棲む街」や、会場中から飛雄馬コールが巻き起こった「あした、晴れ!」。また、幅広い世代に愛される「サボテンの花」「いつでも夢を」「愛燦燦」などのカバー曲も披露し、復興への歩みを感じさせる温かな一体感が会場を包み込んだ。

さらに観客の心を打ったのは、2025年9月にリリースされた最新曲「かぞいろ」だ。

「かぞいろ」とは平安時代の言葉で「父母」を意味する。浜崎あゆみやKinKi Kidsなど数々のヒット曲を生み出してきた音楽プロデューサー・HΛL(ハル)が作詞・作曲・編曲のすべてを手掛けた作品だ。

HΛLは飛雄馬と同郷の熊本県出身。「熊本地震で被災した思いを共にして、一緒に頑張ろう」と、HΛLから楽曲が提供された。

震災という困難を乗り越える中で、支え続けてくれた家族への深い感謝。飛雄馬はその歌詞を、一語一語噛みしめるように大切に歌い上げた。“阿蘇山の爽やかボイス”と称される彼の伸びやかな歌声には、年齢を感じさせない深みがあり、聴く者の心の奥底にある家族への思いや郷愁を強く揺さぶった。

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震災から10年。故郷の風景は少しずつ元の美しさを取り戻し、人々は前を向いて歩み続けている。しかし、復興はまだ終わりではなく、これからも続いていく。

かつて震災の絶望の中で歌に背中を押された12歳の少年は、いま22歳の青年となり、自らの声で誰かの心に希望の光を灯している。この2日間に西原村の空に響き渡った飛雄馬の歌声は、故郷の明るい未来へ向けた、力強くも優しい一歩であった。

 


2025年9月15日発売
飛雄馬「かぞいろ」

「かぞいろ」
作詩・作曲・編曲/HΛL
c/w「フラワー 〜 輝く未来へ~」
作詩・作曲・編曲/HΛL

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