
【写真追加】三丘翔太がバックバンド「オルニチンズ」と第1回定期音楽会。ちょっと風変わり!? 自作カラオケで往年の名曲たちを披露
三丘翔太が4月26日、東京・中央区のライブレストラン「BLUE MOOD」でデビュー10周年を記念した企画ライブ「三丘翔太とオルニチンズ ~第1回 定期音楽会~」を開催し、自身がDTM(デスクトップミュージック)で制作したカラオケ音源を使ってオリジナル曲や名曲を聴かせるチャレンジングなステージをみせた。
2016年1月、「星影の里」でデビューした三丘はデビュー10周年を迎えている。周年イヤーとして様々な企画を検討しているが、その一つがこの定期音楽会だ。コロナ禍をきっかけに独学で習得したDTM(パソコンで音楽を制作)の技術を活かし、三丘が歌いたい、あるいは三丘が表現したいカラオケ音源を制作。オリジナル曲はもちろん、昭和の名曲を披露するという試みだ。
この日はエンディングBGMを含めて17曲が流れたが、14~15曲はこのライブのために新たに打ち込みをしたものだった。
「本当は1曲に3日ぐらいかけたかったのですが、(スケジュール的に)1日1曲のペースでつくりました。夜のほうが集中できるので、昼夜逆転の生活でした」
他のアーティストのライブ用音源も提供するほどDTMの技術をマスターしている三丘。オーケストラのコンサートでは演奏前に奏者がチューニングしているが、三丘はそのシーンまでもDTMで再現し、ライブが始まる気配を高めると、梅沢富美男の「夢芝居」をカバーして登場した。
この日のために新調したという煉瓦色のスーツを着た三丘は、「夢芝居」を歌い終わると、「私が率いますバックバンド“オルニチンズ”の演奏はいかがでしたでしょうか? 誰もいませんが(苦笑)」と話し始めた。
オルニチンとは三丘の好物である枝豆に豊富に含まれる栄養素。パソコンで演奏する楽器をバンドメンバーにたとえ、 “オルニチンズ”と命名している。
「三丘翔太とオルニチンズ ~第1回 定期音楽会~」の前半は昭和歌謡の懐かしさに触れられる前作「釧路発5時35分根室行き」や、恩師・水森英夫氏が作曲だけではなく作詞も手がけたデビュー3作目の「面影今いずこ」、女心を歌った「虹色の雨」のほか、春の東京をインスパイアしたメドレー「東京キッド」~「胸の振り子」~「有楽町で逢いましょう」を披露した。メドレーではジャジーなアレンジでファンを酔わせた。

熱烈なファンが制作してくれたパネルを喜ぶ三丘翔太。制作に5日を要したと聞き、驚いていた。
山川豊の「夜桜」を挟んで、後半はムード歌謡の世界からスタート。「長崎は今日も雨だった」「星降る街角」を歌唱すると、新曲「ゆうなぎの唄」のカップリング曲「困るのよ」を披露した。水森氏が提供してくれたオリジナル・ムード歌謡だった。
三丘の同期には羽山みずきや村木弾、そして真田ナオキなどがいる。真田とはデビュー当時からよく知る仲であり、真田がテイチクへ移籍しメジャーデビューして以降はレーベルメイトでもある。
「デビューしたころ、真田さんから話しかけてくれました。真田さんは自らCDとポスターをもってスナックへ飛び込みで営業していました。『CDショップやスーパーの催事場でキャンペーンができるミッツはいいよね』と言われていました。もちろん、僕にも悩みはありました。でも、平成の時代にはなかなかないような世界を経験されているなと思っていました。その真田さんが今では大人気です。僕も(三丘カラーである)緑のペンライトに囲まれて歌える幸せを感じていますが、真田さんに釣り合うためにももっと頑張りたい」
同期である真田の活躍に鼓舞されている三丘は、真田の作品の中でもとくに気に入っているという「本気(マジ)で惚れた」をカバーした。もちろん、アレンジは三丘自身。コーラスグループ「イソフラボン」(三丘がハモりやウーア-、ユニゾンなどを担当)とともに、内山田洋とクール・ファイブ風の昭和アレンジで聴かせた。
また水森門下によるカラオケ大会で歌ったことがあるという、門下生の先輩・山内惠介の「風蓮湖」を歌うと、本編の最後は谷村新司の「昴」を届けた。NHK紅白歌合戦を愛する三丘らしく、「紅白を再現します」と演奏にパイプオルガンも加えた壮大なアレンジで歌い上げていた。
アンコールはJ-POPの楽曲から菅田将暉の「虹」を歌うと、新曲「ゆうなぎの唄」を披露した。海辺に暮らす人々の営みを情感豊かに歌った作品。前田たかひろ氏が作詞し、水森英夫氏が作曲。編曲は猪股義周だが、「豆腐屋のラッパの音が聞こえるような懐かしい田舎の風景を思い出してください」と、ラッパの音色が聞こえてくるアレンジで歌唱した。そして、「一緒に歌ってください」と、北島三郎の「帰ろかな」を歌い、第1回定期音楽会は終了した。
「第1回定期音楽会ということは・・・第2回ができたらいいな。演歌界を盛り上げるピースの一つになれればいいなと思っています。10周年のその先を目指して」
生バンドによるライブも楽しい。だが、三丘自身によるアレンジによる「定期音楽会」もファンにはうれしい時間だった。
ライブではDTMでの作業を紹介していたが、アレンジの難しさ、編曲家のすごさを改めて感じているとも語っていた三丘。今度はどんな“ミッツワールド”を見せてくれるのか。第2回の開催の決定を待ちたい。

デビュー10周年を記念するグッズを紹介する三丘翔太。黄色の団扇はお気に入り。三丘の顔が満載の団扇については「認めていません」と笑っていたが、インパクト抜群の絵柄だ。
2024年10月16日発売
三丘翔太「ゆうなぎの唄」

「ゆうなぎの唄」
作詞/前田たかひろ 作曲/水森英夫 編曲/猪股義周
c/w「困るのよ」
作詞/さくらちさと 作曲/水森英夫 編曲/猪股義周
テイチクエンタテインメント TECA-24055 ¥1,500(税込)