大江裕が生まれ故郷の岸和田で１５周年コンサートを開催。ファンの心に寄り添う全20曲で“ありがとう”の気持ちを。

2024.02.20

誠実な人柄で男気があり、デビューから変わらない短髪がトレードマークの大江裕が２月18日、地元である大阪・岸和田市の南海波切ホールの大ホールにて『大江裕15周年記念コンサート〜愛をありがとう〜』を開催した。

コンサートの幕開けは、大江裕デビュー前から今日に至るまで師と仰ぐ北島三郎によるＶＴＲ出演だった。

会場のファンへの挨拶に続いて、「これからも大江裕として恥ずかしくない歌を皆様に届け、お客様にずっと応援していただけるような歌手として成長し続けてほしい」と、愛弟子の大江へ激励のコメントを寄せた。その言葉に目頭が熱くなった大江は涙を浮かべながらステージにすると、前半は15周年記念曲第一弾となる「時代の海」からスタートした。

大江裕

「時代の海」は原譲二（北島三郎）が作詞・作曲を手掛けた作品で、続いてデビュー曲「のろま大将」を披露すると、大江は「恐れ入ります」を話し始めた。

「恐れ入ります、大江裕でございます。帰ってきました。北は北海道、南は沖縄と色々とまわらせていただきましたが、この間は流行り病があったりした時期もございました。でも、いつも思い出し、一番好きな場所は岸和田です」

拍手に包まれた大江は「15年の間で一番印象に残っているのは青森でした。青森は以前大雪に見舞われ、飛行機で帰れなくなりましたが、新幹線で戻った時に見た景色、津軽平野の雪景色がとても印象的でしたので、『津軽平野』を歌わせていただきます」と、千昌夫の「津軽平野」をカバーすると、美空ひばりの「りんご追分」、「人生一路」を見事に歌い上げた。

大江裕

「僕が歌手としてデビューしたきっかけは、おじいちゃんの影響です。８８歳ですが、僕が幼い頃から北島先生の歌を教えてくれました。幼稚園の頃、園長先生に言われて皆さんの前で『兄弟仁義』を歌いました」

北島三郎の「兄弟仁義」、「歩〜山〜川」を歌唱してカバーすると、前半の締めに北島の「風雪ながれ旅」を歌唱する。客席からは大歓声が上がった。

大江裕

後半は、和装から法被姿に衣裳チェンジ。法被はこの日のコンサートのために新調したもので、白地にカラフルな鳳凰が描かれていた。大江の案が取り入れられたオリジナルデザインだった。

2月14日にリリースしたばかりの新曲「高山の女（ひと）よ」のカップリング曲「ゆたかの感謝節」から後半をスタートすると、花柳糸之社中の踊り子がステージを華やかに彩る中、大江自身も踊って見せた。

舞踊振付家の花柳糸之氏に稽古を初めてつけてもらったそうで、歌唱と共に軽やかな踊りをファンに初披露した。40キロのダイエットに成功した体型をキープしているその努力が実った形だった。

「本日は、僕のコンサートのために、日本舞踊の舞踊家で振付師としても活動している花柳糸之先生が率いるダンスグループ、花柳糸之社中のメンバーから10人の皆さんがお越しくださいました。本当にうれしいです。僕も花柳糸之先生に教えていただいた踊りお見せしましたが、初挑戦でとても緊張しました。でも、社中の皆さまが一緒に踊ってくださったので心強かったです」

大江裕

会場の熱気が一層高まる中、サプライズで登場したのは中村美律子だった。

「中村美律子さんの『河内おとこ節』を歌わせていただきます。同じ大阪出身で、小学校３年生の時にカラオケ大会で歌わせていただいた曲なんです。皆様、もしよろしければ一緒にお手拍子お願い致します」

そう言って大江が「河内おとこ節」の1番を歌い終えて、２コーラス目に入ろうとすると、中村が歌いながら花柳糸之社中と一緒にステージに登場したのだ。

これには驚きを隠せない大江。驚いた表情のまま3番を中村と一緒に歌唱した。

中村美律子「大江くん、１５周年おめでとうございます。自分のことよりもうれしいわ」

大江裕「僕おじいちゃんに初めて買ってもらったカセットテープが中村美律子さんでした。本当にありがとうございました」

「岸和田といえばだんじり祭じゃないですか。美律子さん一緒に歌っていただけますか」

大江は中村に「だんじり」をおねだりし、中村が歌う横で合いの手を入れていたが、中村のサプライズが記念コンサートに華を添えた。

大江裕

大先輩方からのコメントVTRが会場内に流れるなか、3回目の衣裳チェンジをした大江はギラギラと光沢のあるカラフルなジャケット姿で再登場した。

「北山たけしさん、天童よしみさん、小林幸子さん、大月みやこさん、加藤登紀子さんからも、お祝いVTRコメントが届きうれしいです」

先輩歌手からの厚情に感謝する大江は、会場内へのお客様にも感謝を込めて、北島音楽事務所時代にお世話になった故・小金沢昇司の「ありがとう…感謝」をアレンジした「ありがとう…感謝2024」を届けた。

「実は以前、『岸和田歌謡祭』に出演予定をしていたのですが、体調を崩して出られないことがありました。そんな時に小金沢さんが急きょピンチヒッターで、僕のステージを代わりにつとめてくださいました。本当に今も大好きなお兄さんです」

小金沢氏とのエピソードを聴いて、会場内では涙ぐむお客様もいた。

コンサートも終盤に差し掛かると、大江は自身のオリジナル曲であり、昨年4月5日にリリースしたデビュー15周年記念アルバム『明日に向かって』に収録した「ふる里はいま…」、「母の声」、「こゝろ雨」、「大樹のように」を披露する。

そして、コンサートのクライマックスは2月14日リリースした新曲「高山の女よ」。日本三大美祭“高山祭”をテーマにした楽曲を堂々と歌い上げた。

ステージ締めくくりは、デビュー15周年記念第二弾「城崎しぐれ月」のカップリング曲「愛をこめてありがとう」を選曲した。

「本日は『愛をこめてありがとう』の歌で締めさせていただきます。いつも僕を支えてくださっているお客様、ありがとうございます」

感謝の気持ちを歌で届けた大江にアンコールの声が鳴りやまなかった。ステージに戻ってきた大江は、北島三郎の「まつり」を歌唱すると、観客も一緒に「まつりだ！まつりだ！」と大合唱した。

約2時間半強のステージ。ステージの幕が完全に閉まるその瞬間まで、客席のファンに手を振り続けた大江裕。メドレーを含む全20曲が届けられた、ファンの心に寄り添ったぬくもりのあるコンサートだった。

セットリスト
『大江裕15周年記念コンサート～愛をこめてありがとう～』
1. 時代の海
2. のろま大将
3. 津軽平野
4. りんご追分
5. 人生一路
6. 兄弟仁義
7. 歩～山～川
8. 風雪ながれ旅
9. ゆたかの感謝節
10. 河内おとこ節
11. だんじり
12. ありがとう…感謝2024
13. ふる里はいま…
14. 母の声
15. おんなの嘘
16. こゝろ雨
17. 大樹のように
18. 高山の女よ
19. 愛をこめてありがとう
(アンコール)
20.まつり