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津吹みゆ

ユネスコ平和芸術家の城之内ミサが世界遺産トーチランコンサートを開催。津吹みゆがゲストシンガーとして参加し美しい歌声を!

ユネスコ平和芸術家の城之内ミサが主宰する世界遺産トーチランコンサートが11月27日、東京・渋谷区の渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで開催され、ゲストシンガーとして津吹みゆが参加した。

テレビやCM、映画音楽を作編曲してきた音楽家の城之内は、2006年からユネスコ平和芸術家に就任し、世界遺産の地で世界中の人と分かち合えるコンサートを開催。昨年は世界遺産条約50周年、沖縄本土復帰50周年を記念し、3年ぶりに世界遺産トーチランコンサートを行い、津吹も初参加した。

今年はユネスコ無形文化遺産保護条約採択20周年記念として開催され、「音を詠み、言霊を奏でるひととき」をテーマに、俳句と音楽を融合させた試みとなった。

津吹みゆ

世界遺産トーチランコンサートオーケストラ・スペシャルメンバーによる演奏で、最新曲「郡上しぐれて」などを披露する津吹みゆ。主宰の城之内ミサはピアノを演奏した。

ドレス姿で登場したゲストシンガーの津吹は、11月3日に開催された世界遺産トーチランコンサートのパリ公演に参加した思い出を興奮気味に語っていた。このコンサートはフランス・パリのマドレーヌ寺院で行われ、国立パリ・オペラ座管弦楽団の演奏で津吹が歌声を聴かせていた。

「私にとっては初の海外でした。何もかも見るものすべてが初めてで、すごく勉強になりました。世界遺産エリアにあるマドレーヌ寺院はすごく天井も高くて。私たちのコンサートのポスターが有名な演奏家のポスターと同じ並びに貼られていたのを見たときは身が引き締まる思いでした。本当に貴重な経験でした」

城之内からマドレーヌ寺院はフレデリック・ショパンの葬儀が行われた場所でもあると聞かされた津吹は、「そうなんですね!」と、さらに驚いていた。

津吹みゆ

津吹は第一部と第二部の両方に参加し、第一部では最新曲「郡上しぐれて」や、城之内ミサが手がけた「山川異域風月同天」を披露。第二部ではユネスコ世界自然遺産イメージソング「Ondine~精霊」、ユネスコ公式ソング「peace of mind」を歌った。

「郡上しぐれて」は今年6月に発売された津吹のオリジナル曲。ユネスコ無形文化遺産に登録されている“郡上まつり”で出会った男女の恋物語。女性の恋心が切なく歌われている。

「私はこの曲を今年の夏にいただきました。岐阜県の郡上八幡が舞台になっているんですけれども、せっかくご縁をいただいたので、ひとり旅をして現地を観てきました。“無形文化遺産登録”という大きな横断幕が街のあちこちにあって、地元の皆様もすごく盛り上がっていらっしゃるのがよくわかりました。実際に郡上おどりにも参加させていただいたんですけれど、400年以上続く歴史あるお祭りの輪に入れていただいて、いい経験になったなと感じました」

城之内ミサ、津吹みゆ

ユネスコ無形文化遺産には24都府県41件の民俗芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」が登録されており、「郡上踊」はそのひとつ。津吹は“演歌”という日本のソウルミュージックを世界遺産トーチランコンサートオーケストラの演奏で歌うと、会場には津吹ファンによるペンライトも揺れた。

城之内は「こうしたクラシックのコンサートでは無縁なので、私にもペンライトを振ってください」と笑いを誘っていた。

津吹みゆ

津吹みゆ

続いて津吹が披露した「山川異域風月同天」は約1300年前、日本の長屋王が詠み、唐に送った1000着の袈裟に刺繍されていた言葉でもある。「山や川、国は異なろうとも、風も月も同じ天の下でつながっている」という意味で、この話は『全唐詩』のなかにも「繍袈裟衣縁」というタイトルで収録されている。そして、この言葉に日本に仏教を伝える決意をし、5度の渡航に挫折しながらも6度目に来日を果たし、のちに帰化した鑑真和尚が心動かされた言葉としても伝わっている。城之内が解説する。

「新型コロナウイルスが蔓延した初期に、日本から中国に贈られた支援物資の段ボールにこの言葉が書かれていました。中国の漢詩です。たとえ離れていても心が通じ合っているという教えです。このやさしい気持ちを歌にしていただけないかというご依頼をいただいてつくらせていただきました。今日はみゆさんに歌っていただくことになり、私も楽しみにしていました」

世界トーチランコンサート、東邦中学高等学校合唱団有志

コンサートの第二部には東邦音楽大学付属東邦中学高等学校合唱団有志の皆さんも登壇。津吹みゆとの合唱のほか、奈良県委嘱作品平城遷都1300年祭楽曲「大和路シンフォニー悠久やまと」の第4章より「時空の翼」なども歌った。

城之内ミサの作品が演奏されるなか、披講士・星野愛さんが詩を朗読するという演出で始まった第二部には、東邦中学高等学校合唱団有志の皆さんも参加。津吹みゆは合唱団とともに「Ondine~精霊」と「peace of mind」を歌唱すると、「ひとつのコンサートでここまでいろんな曲を歌うことは少ないのですが、音楽ってこんなに幅広いんだなと思いました。こうして皆様とご縁をいただけたこと本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と感想を述べていた。

津吹みゆ

津吹みゆ

本編最後の曲はユネスコ公式ソング「peace of mind」。同曲では手話でもメッセージが届けられた。

そしてアンコールでは、昨年、初披露された沖縄県世界遺産首里城復興祈念イメージソング「もう一度会いたい~Beautiful place」が届けられた。

同曲は最初、復興ソングとして城之内が作曲した作品ではなかったが、2019年に焼失した首里城の復興を願って歌詞がつけられた。作詞を担当したのはシンガーソングライターの永井龍雲で、完成した楽曲がシンガー 津吹みゆに託された。

城之内ミサ、津吹みゆ

▲沖縄県世界遺産首里城復興祈念イメージソング「もう一度会いたい~Beautiful place」は昨年、浜離宮朝日ホールで開催された世界トーチランコンサートで初披露された。城之内ミサがリリースしたユネスコ世界遺産条約50周年記念アルバム『聖なる予言 Holy prediction』には、津吹みゆの歌声で収録されている。

城之内は、「今は亡き人、場所を偲ぶ作品です。完成した楽曲を歌ってほしいと津吹さんにお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。津吹さんは演歌歌手なのにいろんな歌が歌えるのがすごいですよね。そして幅広い楽曲にトライする気持ちに勇気をいただいています」と話すと、津吹は歌手冥利に尽きると応えた。

「首里城は家族で旅行をしたことがある大好きな場所でした。焼失したニュースを聞いたときはとても残念でしたが、こうして首里城の復興に歌を通じて携われること、復興へのメッセージを届けられることが本当にうれしいです」

津吹は同曲の歌唱を託された責任と復興への思いを込め、合唱団とともに美しい歌声を響かせた。

津吹みゆ

津吹みゆ

なお、12月21日には、東京・港区のミュージックレストラン ラドンナ原宿で、「世界遺産トーチランコンサート 番外編」が行われる。12月23日生まれの城之内ミサが主催する恒例の“ミサ会”で、世界遺産トーチランコンサートのスペシャルメンバーが出演、津吹みゆもスペシャルゲストとして登場する。また、「群上しぐれて」が好評の津吹は、来年1月10日に新曲「会津なみだ橋」を発売予定だ。

津吹みゆ

 

音楽と俳句の融合

ユネスコ公式パートナーシップ事業として開催された「ユネスコ無形文化遺産保護条約採択20周年記念 ユネスコ平和芸術家・城之内ミサ 世界遺産トーチランコンサート~音を詠み、言霊を奏でるひととき」では、俳句と音楽のコラボレーションが行われた。

城之内ミサ

国内外で世界トーチランコンサートを主宰する音楽家で、ユネスコ平和芸術家の城之内ミサさん。ユネスコ平和芸術家はサラ・ブライトマン(歌手)など世界で70名ほどが任命されている。また同コンサートには聖火リレーのように、さまざまな国や地域で、その地の奏者と音楽を奏でていきたい」という城之内さんの思いが込められている。当日は司会、作詞・作曲、指揮、演奏のすべてをこなした。

俳句はユネスコ無形文化遺産に登録はされていないが、“ショートポエム”として世界中に愛好家が増えており、将来の登録化が目指されている。

コンサートの第一部では、明治から昭和の時代に活躍した俳人・高濱虚子(きょし)の曾孫で、「玉藻」の主宰、鎌倉虚子立子記念館館長でもある星野高士さんと、第8代ユネスコ事務局長を務め、「無形文化遺産の保護に関する条約」の採択・発効に尽力した松浦晃一郎さんが登壇した。

愛媛県生まれの高濱虚子は正岡子規に師事した俳人。1898年には、柳原極堂が子規を応援するためにその前年に創刊した俳誌『ホトトギス』の編集発行人を引き受け、俳句だけではなく、小説なども掲載する総合文芸誌へと発展させると、夏目漱石を後押しし、処女小説『吾輩は猫である』を発表させるなどしている。また虚子は自身の俳句創作のほか、女性俳人の育成にも力を入れ、実娘・星野立子は俳人として女流俳句を牽引した。また星野高士さんは立子に師事し俳人としての道を歩んだ。

ユネスコ平和芸術家・城之内ミサ、鎌倉虚子立子記念館館長・星野高士、第8代ユネスコ事務局長・松浦晃一郎

左からユネスコ平和芸術家・城之内ミサさん、鎌倉虚子立子記念館館長・星野高士さん、第8代ユネスコ事務局長・松浦晃一郎さん

城之内ミサの司会によるトークでは、松浦さんは「俳句は雅楽や能楽、歌舞伎のようにユネスコ無形文化遺産ではありませんが、俳句は残すべき日本の文化遺産です。昨年、登録された盆踊り(風流踊)のように俳句は皆さんが参加できるのがいいですね」と話すと、星野さんは「虚子が渡仏した際、俳句を紹介したことがありますが、海外でも“ショートポエム(三行詩)”として広がっています。5-7-5という17音で、季語を入れると残りの文字数がほとんどないのに、それでもひとつとして同じ作品がない。そんな俳句には人それぞれの感性が隠れています」と、俳句の魅力を語った。

城之内ミサ、披講士・星野愛

城之内ミサさんと星野愛さん(右)。愛さんは高濱虚子の玄孫にあたり、披講士として詩を披講した。

第二部では渋谷区議会議員でもある星野愛さんが冒頭に登場した。愛さんは星野高士さんの実娘で、高濱虚子の玄孫にあたる。自身も俳句を詠みつつ、披講士としても活躍している。

コンサート開催を記念して公募された投句から特選に選ばれた俳句を紹介すると、城之内ミサさんが作曲した音楽をBGMに、俳句選者を務めた俳人の作品を披講した。俳句選者のひとりでもある星野高士さんの代表句のひとつ「引鶴の雲に紛れて無尽蔵」も朗読された。

披講士・星野愛

披講士・星野愛


2023年6月14日発売
津吹みゆ「群上しぐれて」
津吹みゆ

郡上しぐれて」
作詩/たきのえいじ 作曲/四方章人 編曲/竹内弘一
c/w「母子草」
作詩/たきのえいじ 作曲/四方章人 編曲/竹内弘一
日本クラウン CRCN-8575 ¥1,400(税込)


2022年12月7日発売
ユネスコ世界遺産条約50周年記念アルバム
城之内ミサ『聖なる予言 Holy prediction』
城之内ミサ

日本クラウン CRCI-20921 ¥3,000(税込)

収録曲
1. 風のほほえみ
2. 国境
3. 山川異域風月同天(サンセンイイキフウゲツドウテン)
4. Le Muguet
5. もう一度会いたい~Beautiful place(歌唱:津吹みゆ)
6. 旅路の果て
7. Desert Moon~閃光
8. 聖なる予言 Holy prediction(歌:城之内ミサ)
9. 聖なる予言 Holy prediction Ⅱ~Calm time
10. 大地の歌 〜Le chant de la terre (ユネスコ世界遺産条約35周年記念曲)
〈ボーナストラック〉
もう一度会いたい~Beautiful place (合唱Ver.)

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