知里が夏の夜の都心でバースデーライブを開催。新曲「哀しみのラストタンゴ」のヒットを誓い、「もうひとつ階段を登ります!」
知里が7月9日、東京・港区のライブレストラン青山でバースデーライブを開催。アットホームなライブに「泣きそう」とうれしさを爆発させた。
6月27日に千葉県市川市に生まれた知里。14歳の時に歌手になりたいと思い、日本大学芸術学部音楽学科で声楽を学び、東京・赤坂でジャズを歌っていた。日本クラウンから「やさしい日々」でデビューしたのは2010年。ジャズを歌っていた頃は、「Jupiter」を歌う平原綾香のようなクラシカルクロスオーバーの歌手としてのデビューを夢見ていたが、「みちのくひとり旅」のヒット曲で知られる三島大輔さんに師事したことで、演歌・歌謡曲のジャンルでのデビューとなった。
「やさしい日々」は好きな男性と過ごした“やさしい日々”が切なく描かれた作品で、作曲は三浦さん。小柄な知里による圧倒的な歌唱力に、演歌・歌謡曲ファンは惹きつけられた。
「誕生日ライブということで、演歌・歌謡曲にこだわらず、いろんなジャンルの歌を聴いていただきたいと思います。デビュー前は東京・赤坂でジャズを歌っていました。三浦大輔先生のおかげでデビューできましたが、今日は赤坂に近い青山で、少し遅くなりましたがバースデーライブを開催できることをうれしく思います」
浴衣姿で登場した知里は、まずはあいさつ代わりに「花艶歌」「あなたの女です」「華ロック」をメドレーで届けると、「ようやく、こうしたイベントを開催することができました」と喜んだ。
新型コロナが5類感染症に移行したことで、様々な規制が解除され、会場は満杯。コンサートホールとは違って、ファンとの距離も近く、「泣きそうです。コロナ禍になり、こんなアットホームなライブはもうできないんじゃないかと思っていたのでうれしいです」と知里。「夏なので浴衣を着てみました」と笑顔をみせた。
デビューして13年。知里はこれまでに10枚のシングルをリリースしてきたが、今、もっとも力を入れている曲がラテン調歌謡曲「哀しみのラストタンゴ」だ。知里は同曲からライブを本格化させた。
「哀しみのラストタンゴ」は、前作「永遠の人」から続く杉本眞人氏による作曲作品。今年1月に発売したが、「今もオリコンで上位にランキングされて頑張っています。47都道府県全部でこの曲を歌いたいと、ほぼ休みなく全国を回っています。でも、まだ20数県。半分も回れていませんが、12月までに47都道府県をコンプリートしたいと思っています」と意気込んだ。
浴衣姿の知里が歌う“タンゴ”は貴重なシーンとなったが、そのカップリング曲で、自身が“麻生知里”名義で作曲した「愛しても」へと歌いつなぐと、知里のステージではお馴染みのピアニスト Hiromiを呼び込み、ここからはピアノ演奏による歌唱となった。
ジャズのスタンダードナンバーから「サマータイム」、デビュー前に仲間たちと自主制作したオムニバスアルバム『虹』から、本名の“金子知里”名で収録した「Scarlet」、ピアノ・バージョンにアレンジしたデビュー曲「やさしい日々」、セカンドシングル「追いかけて」、サードシングル「東京恋歌」の初期作品を披露すると、知里はスペイン語で“たくさんキスをして”と歌う求愛のラテン音楽「ベサメ・ムーチョ」、そして「コーヒールンバ」で前半戦を終了。ファンにコーヒーとケーキを振る舞った。
後半戦は客席ラウンドから。ドレスに着替えた知里は「ちさとマーチ」で再登場すると、ファンひとりひとりと握手で触れ合い、ステージに戻ると、松任谷由実のヒット曲「真夏の夜の夢」を披露した。
続けてジャズの名曲「スウィングしなけりゃ意味がない」、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で関心が高まっている映画「ひまわり」(戦争で引き裂かれた男女の悲愛物語。ひまわり畑のシーンは現在のウクライナで撮影された)の主題歌などを聴かせた。なお、知里はコンサートでもウクライナへの支援を訴え募金活動を行っている。
初めて2タイプをリリースした前作の10周年記念曲「永遠の人」(2021年)、デビュー時から歌っており、「花艶歌」のカップリングにもカバーして収録した昭和の名曲「イヨマンテの夜」でライブを締めると、知里はアンコールに応えて「じつは私はワルツの曲が大好きなんです」と、「ラスト・ワルツ」、そして新曲「哀しみのラストタンゴ」をピアノアレンジで届けた。
新曲の衣裳に着替え、“最後のステップが 終わるまで も少し 恋人でいさせて”と歌う知里。タンゴを踊りながら、“哀しみの 哀しみの・・・ラストタンゴ”と歌うと、夏の夜のバースデーライブの熱気は最高潮に達していた。
熱気が冷めないファンからはすぐさまダブルアンコールがかかる。少し驚いた表情をみせつつも、うれしさも隠さなかった知里。「ありがとうございます」とファンに感謝を述べると、知里はファンに「テネシーワルツ」をプレゼントした。
そういえばライブの途中、知里はある先輩歌手の言葉を紹介していた。「売れて続けるのは簡単。売れなくて続けるのは大変」という言葉だ。この言葉に「なるほどな」と思ったという知里は、「もうひとつ階段を登っていきたい!」とギアを上げていた。北海道や大阪でのライブも決まったと明かし、新曲「哀しみのラストタンゴ」のヒットを誓った。