北川大介がコンサート再始動! 四唱節コンサート & 新曲披露会で“決めポーズ”

北川大介が10月8日、東京・渋谷区にある古賀政男音楽博物館けやきホールで「北川大介 四唱節コンサート & 新曲披露会」を開催、半年ぶりにステージに立った。

四唱節コンサートとは、ラジオパーソナリティーや番組プロデューサーとして活躍する湯浅明氏がプロデュースする北川のコンサート。7年前から春夏秋冬、年4回開催されており、北川の新しい魅力が発見できると、毎回、補助椅子を追加するほどの人気企画だった。だか、今年はコロナ禍により春夏のイベントが中止となった。そのためこの日のコンサートでは「~失われた春と夏を取り戻せ~」という副題がつけられた。定員は半分に制限されたが、失われたファンとの交流を取り戻すための“倍返しコンサート”でもあった。

半年ぶりにステージに立った北川は、ファンとの失われた時間を取り戻すように、終始、笑顔を見せた。

湯浅氏は四唱節コンサートについて、北川が成長するための実験の場だと話す。曲間には様々な話題を北川に投げかけ、会話のキャッチボールを観客は楽しんだ。

またコンサートでは、10月7日に発売された新曲「星空のツイスト/泣くんじゃないよ」を初めてファンに生で披露する機会ともなった。表題曲「星空のツイスト」は、昭和チックなフレーズがちりばめられたノリのいい楽曲となっている。

「新曲『星空のツイスト』のテーマはダサかっこいいです。作詞の岡田冨美子先生が奇抜でかわいい、昭和のラブワードをたくさん取り入れてくださいました。“胸キュン”とか“いかしている”とか。昭和の青春歌謡に出てくるような、今では歯が浮くような言葉ですが、令和の時代にあらためて“昭和っていいな。昭和の良さ、昭和のかっこいい時代をもう一度取り戻したい”と思う自分がいます。それが歌になりました」

北川自身が考えたという、モンキーダンスやツイストを取り入れたフリも魅力だ。1950年~60年代に若者を熱狂させたアメリカンポップスが思い出され、ミュージカル映画『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)で主演のジョン・トラボルタがダンスで見せ、大流行した決めポーズも取り入れている。

四唱節コンサートでは湯浅氏が選曲した13曲を北川は歌った。この13曲には北川のオリジナル曲である「君の住む町で」や「菜七子」なども含んだが、田原俊彦と研ナオコがToshi & Naokoとして歌った「夏ざかり ほの字組」や、島倉千代子と守屋 浩による「星空に両手を」といったデュエット曲をソロで歌うことにも挑戦した。湯浅氏が言う。

「彼が普段のコンサートで見せる表情はファンならご存知じゃないですか? でも、この曲を大ちゃんはこんなふうに歌うんだ、という魅力をさりげなく見せたいんですよ。魅力には、歌のうまさや味わいもありますが、一発勝負の緊張感だと思います。彼はスポーツマンなので、スポーツにたとえるなら決勝大会です。雨が降ろうが風が吹こうが、全力を出さないといけないですよね。そんな場がこの四唱節コンサートです。ファンのみなさんがびっくりしながらも喜んでくださったら、僕たちの勝利なんです」

「春なのに」(柏原よしえ/現・柏原芳恵)、「桜」(コブクロ)、「ああ夏休み」(TUBE)、「精霊流し」(さだまさし)、「季節の中で」(松山千春)など、“エクボと八重歯とリーゼント”が3点セットの北川からは想像できないラインアップに、それでいて懐かしい曲たちに、観客は目を細めていた。

“目を細める”といえば“大ちゃんスマイル”が第一に浮かぶ。マスク着用が新しい生活様式になっているが、マスクをしていると表情が見えず、笑っているかどうかもわかりづらい。そんな時は、「目を細めるといいですよ」と北川。AI(人工知能)が、笑っていると判断してくれる確率も大幅に上がるのだと、観客に大ちゃんスマイルを届けていた。

2018年の20周年記念曲「菜七子」では、曲の終わりに“菜七子―ッ”と叫ぶパフォーマンス。

いまさら説明するまでもないが、北川は高校時代に野球、大学からはゴルフに熱中し、そのゴルフではプロの資格を持つ。今年で歌手デビュー23年目を迎えるが、この間、アスリート感覚で走ってきた。だが、コロナ禍により多くの歌手同様、観客の前で歌う機会を失った。

「北川大介 四唱節コンサート & 新曲披露会」は、コンサート活動を再開させるという意思の表れでもあった。コロナ禍とは言え、音楽業界では電話一本で多くの仕事がいとも簡単にキャンセルされている。

「2020年は2月頃から世の中がぐちゃぐちゃになってしまいました。でも、自分は音楽がみんなの生活を支えてくれて、人々を勇気づけてくれると信じています」

と話す北川。湯浅氏が補足する。

「大介君は遊び心をたくさん持っています。でも、彼の遊び心は娯楽ではなく、真剣勝負のことです。真剣勝負の場に出ることが楽しくて、その場で何を表現し感動を与えることができるかの勝負をしてきました。だから、(withコロナによる新しい生活様式になり)自分が皮切りになろうと。周りをうかがって、安全になってからやるのではなく、自分から再始動しようと、このコンサートをやることにしたんだと思います。もちろん、彼は何も言いませんが」

歌えなかった期間、北川はYouTubeに「元気がでる! だいちゃんねる」を開設し、2日に1回のペースで動画をアップ。この日までに145本の動画を作ってきた。また、SNSも始めたという。

それでも直接、ファンと触れ合うことの意義は大きい。3部構成で行われたコンサートの最後は「北川大介オンステージ」と題して、オリジナル曲を中心にいつもの元気な大ちゃんを披露した。

第2部には新曲の衣装で登場した北川。「見上げてごらん夜の星を」や「星空に両手を」などを歌い、この日、1回目の新曲の披露へ。

第2部の最後に新曲を披露する北川。「星空のツイスト」ではモンキーダンスやツイストを取り入れたフリで観客を沸かせた。

女性のボディーラインを背中に描きながら、“ボディーのくびれが 悩ましい”と歌う。

海外から取り寄せた衣装を説明する北川。昭和30年代の香りがするスーツを探してもらったという。ドレッシーな衣装に、蝶ネクタイを取り入れた「星空のツイスト」の衣装。蝶ネクタイをするのは初めてだという。

この日、3回目(第3部)のステージに現れた北川は、開口一番「お久しぶりです。おかえりなさい。みなさんの前で歌うのはうれしいです。お互いの魂と魂を確認し合いたいと思います」とあらためて挨拶。第57回 日本レコード大賞の作詩賞を受賞した「横濱の踊り子」から歌いはじめた。

間奏に流れる口笛演奏では、エア口笛をして観客をクスっとさせる北川定番の「男と女」、川中美幸が“北川君の歌で一番好き”と言ってくれたという「横濱のブルース」、第51回日本作詩大賞 最優秀新人賞を獲得した「噂の湘南漁師町」、五木ひろしが作曲を手がけてくれた「倖せの隠れ場所」、亡くなって3年となる平尾昌晃氏が作曲した「カリフォルニアコネクション」(TV番組『熱中時代・刑事編』の主題歌)へと歌い継いでいく。曲間には、曲の解説やエピソードなど、トークを挟みながら。

大先輩である五木に作曲してもらった「倖せの隠れ場所」は昨年の日本クラウンヒット賞を受賞した人気曲。授賞式には五木もかけつけてくれたといい、歌の振付には、五木のモノマネでは定番の “ガッツポーズ”取り入れているが、「五木先輩が笑って見ていてくださったので、これは公認いただいたと思ってやり続けています」とニコッ。

また、これまで6曲を提供してもらった平尾氏の曲から、あえて「カリフォルニアコネクション」をカバーしたのは、10月18日に放送されるNHK BS放送「新・BS日本のうた」では平尾昌晃の特集が組まれ、番組内で同曲を歌ったからだという。

第3部の北川大介オンステージでは冒頭から弾けた。観客と一緒になってステージを作り上げていく。

「みなさんにお会いするチャンスがこの半年、ありませんでした。今日、集まってくださったみなさんには感謝です」(北川)

最後は新曲のお披露目となった。第2部の最後に初お披露目していたが、アンコール代わりに、まずはカップリング曲「泣くんじゃないよ」から熱唱する。鈴木紀代氏が作詞し、叶 弦大氏が作曲した同曲は、石原裕次郎を彷彿とさせる王道のムード歌謡になっている。

「切ない歌ながら、やさしさがあって思いやりがあっていい歌です」(北川)。

そしてフィナーレは新曲「星空のツイスト」だ。コンサート前、北川はこんなふうに話していた。

「今日初めて、みなさんがどういう評価をしてくださるのかが間近に見えるのが楽しみです。コロナ禍で、みなさんちょっと下を見る機会が多いと思いますが、希望や夢、恋愛なんかも含めて、前向きに上を向ける歌が必要だと思います。楽しい歌が必要です。でも、曲の評価は自分でするものではなく、お客さんがしてくださるものです。いい歌だと、認めてもらえると思うんですが、それは開けてみないとわからないですね」

「それでは歌います。岡田冨美子先生・作詞、叶 弦大先生・作曲、馬飼野俊一先生・編曲、『星空のツイスト』!!」

イントロが始まると、観客はひと際大きな手拍子で歓迎する。この歌を聴くのも2度目となると、曲の盛り上がりも、北川のモンキーダンスやツイストがどこで入るのかもわかっている。北川と一緒になってフリを真似する観客たち。

手を上下に動かして踊る姿が猿に似ていることから名づけられたモンキーダンス。1960年代中盤、GSブームと一緒に大流行したが、流行しすぎて勉強がおろそかになると、ダンスを禁止した学校もあったという。禁止されると、余計に魅力的に見えてくるのが、若さというエネルギー。今年50歳となった北川より一回りと少し上の世代には、青春だったと思われる。コロナ禍で声援が出せないご時世に、北川の“ダサかっこいい”ダンスが見事にマッチしていた。

「気に入っているのは、“ボディーのくびれが 悩ましい”のところです」

北川が観客に向かって背中を見せ、右手で女性らしいボディーのラインを背中に描くフリでは、ファンの笑いを誘っていた。

shake shake shake
shake shake shake
お嫁においでよ I love you
(「星空のツイスト」歌詞より)

最後に北川が“決めポーズ”を決めると、ファンの思いが爆発し、大きな拍手となって会場を包んだ。

大ヒット映画「サタデー・ナイト・フィーバー」でお馴染みの決めポーズで、北川はコンサートを締めくくった。“みんなで盛り上がれる曲ができた”と、新曲「星空のツイスト」への手応えを感じていた。

 


2020年10月7日発売
北川大介「星空のツイスト」

「星空のツイスト」
作詞/岡田冨美子 作曲/叶 弦大 編曲/馬飼野俊一
c/w「泣くんじゃないよ」
作詞/鈴木紀代 作曲/叶 弦大 編曲/馬飼野俊一
日本クラウン CRCN-8346 ¥1,227+税

北川大介が60’sロカビリー歌謡に初挑戦! これまでのムード歌謡調のソフトな歌謡曲とは打って変わって、60’sを思い出させるツイスト調のライブ感覚のあふれる作品で新たな一面を魅せている。カップリングの「泣くんじゃないよ」は石原裕次郎を彷彿とさせるムード歌謡。切ないながら、温かい気持ちになれる歌だ。

 
 
INFORMATION
NHK BSプレミアム「新BS日本のうた」
放送日時=10月18日(日)19:30~20:59
出演者=五木ひろし、北川大介、小柳ルミ子、坂本冬美、中澤卓也、中条きよし、長山洋子、西崎 緑、西田あい、布施 明、山川 豊(五十音順)
この日放送される「新BS日本のうた」では平尾昌晃氏の特集が組まれ、北川は「カリフォルニアコネクション」のほか、平尾氏が1958年に日本語でカバーしてヒットさせた「監獄ロック」(原曲はエルヴィス・プレスリー、1957年)を五木ひろしと歌っている。