最新アルバム『No Rain No Flower』を引っさげ、河口恭吾が20周年記念ライブ。大ヒット曲「桜」は弾き語りで披露
「桜」の大ヒットで知られる河口恭吾が12月11日、東京・渋谷の「duo MUSIC EXCHANGE」でデビュー20周年を記念したライブの開催を前にリハーサルを行い、取材に応じた。
20周年と題していたが、本来の20周年は昨年。今年は21年目となっていた。
「(コロナ禍で」ほぼ2年間、ライブができなかった。ここ6年ぐらいはCAFEを回るツアーも行っていましたが、それも回れなくなった。本来なら20年間応援してくれた人たちに、直接、音楽を伝えたいという思いがあった中で、今日、実現できるライブです。まだ制約はありますが、今の精いっぱいのいい音楽を届けたいし、楽しんでもらいたい」
都内のライブハウスを中心に活動していた河口は2000年に「真冬の月」でCDデビューし、2003年にシングルとして発売した「桜」(1stアルバムからのシングルカット)がヒット。日本有線大賞 有線音楽賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも出場を果たした。
「曲を作った時は独身でした。当時、想っていた人のことを書いたんですが、結婚して家庭ができて、愛する対象が女性から我が子になったりとか、長い時間歌っていると、歌う対象が変わっていくんだな、という発見がありましたね。世代を問わず、未だに歌ってもらっているのを目にしたり耳にしたりすると、本当にうれしいなと思います。音楽的には『桜』のヒットにより悩んだ時期もありましたが、『桜』が世の中に受け入れられたという事実は変わらないので、今は、胸を張って歌っていければなと思っています」
ライブができなくなったコロナ禍も、河口は創作活動を続けた。親睦の深いアーティストたちとのコラボ作品を続々と発表し、今年11月24日には20周年イヤーの集大成となるアルバム『No Rain No Flower』を発売した。
「川崎鷹也さんや、片岡鶴太郎さん、FLYING KIDSの浜崎貴司さん、元キマグレンのISEKIさんなど才能ある方と作業をさせていただく中で、たくさんの刺激と学びをいただきました。それが自分のオリジナル曲にも反映されて、いいアルバムができたと思います」
“No Rain No Flower”とは、雨が降らなければ花が咲かない、という意味。アルバムの中の同名の1曲をタイトルにした。
「ソングライターとして世の中に起こっていること、自分の身に起こっていることを表現したいという欲があります。コロナ禍で我慢を強いられ、制約を受けましたが、それは世界中も同じ。共感を得られるような楽曲を作りたい。そう思いました。歌詞はすごく悩みました。いろんな方にアドバイスももらいました。親しい人を亡くした方もたくさんいらっしゃる。仕事で大きくダメージを受けた人もいらっしゃる。でも、音楽で少しでもポジティブに変えることができたらと願って作った曲です。雨が降らなければ花は咲かないって、もしかしたら、腹を立てる人がいるかもしれないけど、起こってしまったことを、なんとか前向きにできないものかと考えました。コロナでは自分もミュージシャンとして苦しかった。だから、『No Rain No Flower』という曲は自分への応援歌でもあります。多くの方に共感していただけたらなあ、と思います」
アルバムのリード曲は「Shibuya」となった。デビュー曲の次作として準備していた1曲が「Shibuya」だった。
「ただ、当時所属していたレコード会社がなくなってしまったとか、いろんな事件・事故が続く中で、『Shibuya』のことをすっかり忘れていました。去年、事務所の社長に言われて、自分も曲のことを思い出しました。20年間、本当に忘れていた楽曲でしたが、これもタイミングや縁かなと思って、リード曲としてアルバムに入れてあげました」
ライブはアルバム収録曲の「明日は晴れるだろう」からスタートし、20年を振り返る楽曲たちを歌った。大ヒット曲「桜」はギターの弾き語りで披露し、エンディングは「No Rain No Flower」を届けた。
コロナ禍で音楽活動が制限を受けた時は、自分が何者かと不安になりそうになった。だが、河口は創作活動を続けることで音楽に対するモチベーションを維持したという。そして、待っていてくれたファンには、「感謝という言葉よりも、歌と演奏で返したい」と語っていた。
「やっぱりライブをやりたい。まだ状況を見ながらですが、こつこつとライブを続けていきたいなと思います。楽曲制作以外、ほとんど音楽活動ができない状況だったので、2022年はツアーを回りたい。日本武道館、やったことがないので、一回、やりたいよね」
2021年11月24日
河口恭吾『No Rain No Flower』
▶河口恭吾 アルバム『No Rain No Flower』ミュージックビデオ