桜庭和子がティータイム・コンサートを開催。夫である編曲家・桜庭伸幸氏の遺した新曲をファンの前で披露
「天城越え」「夢芝居」などの編曲や「奥入瀬」の作曲家としてレコード大賞特別功労賞も受賞した故・桜庭伸幸氏夫人として、亡き夫の遺作を世に出すことを含め、精力的に歌手活動やプロデュース活動を行う桜庭和子が、10月17日、東京・練馬区のホテルカデンツァ東京でティータイム・コンサートを開催した。
桜庭は、1989年より「和由貴子」の
この日は、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底した中行われた。生前美空ひばりさんのバックを務めた(C&H)
6月23日に発売した明治の女流作家・樋口一葉の短編小説を題材とした新曲「十三夜(歌謡編)」にちなみ、旧暦の“十三夜”(正確にはその前日にあたる)17日に行われたコンサートは、桜庭による「十三夜」のあらすじを演劇仕立てにした朗読でスタートした。カップリングに収録されている長尺の「歌謡朗読入りロングバージョン」をさらに膨らませた約15分にもおよぶ大作を、桜庭自身が描いたイラストやイメージ画をスクリーンに映しながら情感豊かに語りファンの心を引き込んだ。
朗読に続いては、オーケストラによる「ムーンライトセレナーデ」などの月にちなんだジャズナンバーの演奏を挟み、白を基調とした着物姿で登場した桜庭は「月の砂漠」「月がとっても青いから」「月の法善寺横丁」などの“月のうた”をしっとりと聴かせた。
終盤には、9月1日にデジタル配信のみでリリースした2作品、夫・伸幸氏の遺した曲を完成させレコーディングした「再出発」「幸せにいつか」をスクリーンにミュージックビデオを映しながら披露し、ラストは初めての夫婦共作となった「美しい日本」で締めくくった。
「和由貴子として歌手デビューしてからほぼ30年経ちますが、コロナ禍で制約も多い中こうしてたくさんの方に来ていただけるのは幸せです。30年間ずっと応援し続けてくださる方々もたくさんいらっしゃって、こういう場を持てるのが何よりありがたいです。今回の新曲から本名の桜庭和子で活動しておりますが、その理由としては、実は今月に滝行もする予定なんですけれど、私も少し変わろうと思っているんです。それとやっぱり根っこには、夫である伸幸さんの遺していったたくさんの素適な歌たちを少しでも世に出すということが私の生きがいだからです」
アンコールでは、ファンのリクエストに応えて、エディット・ピアフの「愛の讃歌」を圧倒的な歌唱力で堂々と歌い上げ、今後のさらなる活動への意欲を見せた。
2021年9月1日発売
桜庭和子「再出発/幸せにいつか」