川野夏美がタブレット純をゲストに第3回チャレンジライブ。「逢いたかったんだなあ」
「逢いたかったんだなあ」
オープニング曲「悲別~かなしべつ~」(2013年)を歌い終えると、川野夏美はファンに語りかけた。
「皆様、こんにちは。ようこそ、川野夏美です。今日は第3回チャレンジライブ。ずっと延期・延期を重ねておりましたけど、ついに開催させていただくことができました。元気でしたか!! 皆さん、逢いたかったですよ。なかなか口にはしませんでしたけど、今、逢いたかったんだなあ、私は、と。すごく実感しています」
3月21日、川野は東京・新宿区の関交協ハーモニーホールで、「第3回 川野夏美チャレンジライブ」を昼夜2公演行った。当ライブは新しい川野の表現の場として開催されたもの。2019年5月に東京・新宿区のR’sアートコート(労音大久保会館)で第1回目を開催し、この時はファンからのリクエストに応じて、懐かしい名曲をぶっつけ本番で歌うチャレンジを実施。今後も定期的にチャレンジライブを行いたいと話していた。しかし、コロナ禍により第3回の開催はなかなか叶わなかった。
第3回のチャレンジライブでは、川野が常日頃、大好きだと公言しているタブレット純とのコラボが実現した。お笑いタレントであり、歌手でもあるタブレットは20年近く前に、“田渕純”の名前で、和田弘とマヒナ・スターズに2年間所属し、低音のパートを受け持っていた。川野はそんなタブレットの話しぶりや歌声に惹かれていると、今回のコラボを「夢のようです」と喜んでいた。
序盤のコラボではタブレットがリードし、ムード歌謡の世界にチャレンジ。和田弘とマヒナ・スターズのデュエットソングである「寒い朝」と「愛して愛して愛しちゃったのよ」の2曲を届ける。
「寒い朝」は、1962年に吉永小百合/和田弘とマヒナ・スターズが歌った曲で、吉永のデビューシングルでもある。元気の出る曲ということで選択された。「愛して愛して愛しちゃったのよ」は田代美代子とのデュエット曲として1965年にリリースされた楽曲。「純さんと歌いたかった」という川野のリクエストにより披露された。
ライブでは、東京ベルサイユ宮殿の米内山尚人(ギター)、北園優(ピアノ)、近藤哲平(クラリネットとパーカッション)の3人によるバンド演奏に、バイオリンの石井夕紀が川野を支えた。生バンドならではの演奏で、川野は気持ちよくオリジナル曲も届けていく。2019年の「満ち潮」、オープニング曲に続くドラマチック演歌として制作された2014年の「雲母坂~きららざか~」、そして川野の新境地としてリリースされた2005年の「じょんがら恋唄」では、石井のバイオリンが世界観をつくり、川野が熱唱する。
会場から大きな拍手をもらった川野は、「素晴らしい演奏で歌わせていただいて、楽しいです」と吐露。生演奏ならではのアレンジで、「歌手~singer~」(2017年「オホーツク海岸」カップリング)を歌う。
「あなたはクラブの ピアノ弾き 私はジャズの Singerで」という、仁井谷俊也氏による歌詞で始まる同曲を、北園のピアノ演奏で歌い終えると、川野は2月10日にリリースされたばかりの新曲「勿忘草(わすれなぐさ)」を聴かせた。儚いながらも、強い意思をもった女性の心を“勿忘草”に重ねた同曲。会場には作詞を担当したもりちよこ氏の姿もあった。
「幸せをいっぱいかみしめています」
無事、ライブが開催できたことに感謝しながら、川野は最後にもう一度、タブレット純とのコラボを楽しむ。
ムード歌謡を歌った序盤のコラボとは異なり、終盤は川野が普段歌わないような曲にチャレンジする。再びタブレットをステージに呼び込んだ川野は、鈴木聖美と鈴木雅之によるデュエット曲として有名な「ロンリーチャップリン」を激しく歌い、そしてラスト曲として「サライ」を選んだ。
“心のふるさと”をテーマにした「サライ」は、チャリティー特番のテーマソングとして使われており、「歌詞を見ると、今の時代にぴったり」とタブレット。そして、「少しずつでも明るい方向へ進むように願って」と川野。2人はフルコーラスで、息ぴったりに聴かせる。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、”なっちゃん”のかけ声がかけられないファンは、大きな拍手で気持ちを伝える。「拍手は大好物です」と川野。
「また元気にお会いしましょう」
川野はライブの終了を名残惜しそうにしながらも、緞帳が閉まる最後まで笑顔をファンに見せていた。
2021年2月10日発売
川野夏美「勿忘草(わすれなぐさ)」
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