蘭華「愛を耕す人」追悼コンサート開催。「命の尊さと大切さを少しでも感じていただけたら」
シンガーソングライターの蘭華が昨年12月26日、アフガニスタンで凶弾に倒れたNGO法人・ペシャワール会現地代表の中村哲医師へ捧げる追悼チャリティーコンサートを東京・日本キリスト教団「東美教会」にて、100名の客席を半分にしたソーシャルディスタンスを施して開催した。
医師である中村氏は、アフガニスタン国内での地域医療や緑化事業、砂漠を緑のオアシスに変える灌がい事業などに貢献し、復興・人道支援に取り組んでいた。しかし、2019年12月にアフガニスタン内で何者かの凶弾に倒れ、帰らぬ人に。
中村氏の活動に感銘を受けた蘭華がわずか一日で書き上げた氏への鎮魂歌「愛を耕す人」は、2020年10月7日に両A面シングル「ねがいうた/愛を耕す人」として、徳間ジャパンコミュニケーションズよりリリースされ、発売初週のオリコン総合ランキングでは33位。演歌・歌謡ランキングでは4位を記録し、10月30日付け演歌・歌謡ランキングでは1位を獲得するなど好調なセールスを続けている。
中村氏の訃報から1年を迎え、様々な思いが去来する中で蘭華は、「こんな素晴らしい活動をされていた方がいらっしゃったこと、平和と発展への願いをつないで種を蒔き、その人生をかけて愛を耕し続けた氏の存在をいつまでも忘れてほしくない」と、敬虔なクリスチャンであった中村氏を偲び、コンサート会場を教会にしたという。
「愛を耕す人」の命の尊さと無償の愛を伝える詞の世界は、天国へ届けられた永遠のクリスマスソング。クリスマスを待たずに天国に召されてしまった中村氏への祈りを込めた鎮魂歌であり、平和を求めるすべての人々へのねがいうたでもある。
「昨年は曲が一曲も書けなかった私ですが、ニュースから流れてきた遠い異国の地、アフガニスタンで自分の命をも顧みず、多くの人々の命と未来を救った中村哲医師の活動を知り、その功績と生き様、志に感銘を受けて、一日で書き上げた作品が「愛を耕す人」です。今世界はコロナウイルスの蔓延により、世界中で多くの人々が尊い命を落としています。中村医師への鎮魂歌として書いたこの曲を通じて、命の尊さと大切さを少しでも感じていただけたらうれしく思います。そして中村医師のように、すべての命を守るため、このウィルスと闘っておられる世界中の医療従事者の皆さん、最前線で働いておられる全ての皆さんに対し、感謝と敬意の気持ちを込めて、これからも届けていきたいと思います。コロナ禍で今年は歌のステージがすべて中止になりましたが、一年の終わりに、このような追悼コンサートが開催できたことを、心から感謝しています」(蘭華)
▲「愛を耕す人」のミュージックビデオには、中村医師の生前の貴重な写真が散りばめられており、「とても素敵なお写真をたくさん使わせていただけたので、ぜひ多くの皆さんに観ていただきたいです」(蘭華)
牧師の挨拶と中村氏にまつわるメッセージからスタートしたコンサートは、中村氏に捧げた「愛を耕す人」から始まり、金益研二氏の優しく奏でるピアノをバックに蘭華は天国へ届けるかのように熱唱した。その美しく切ないメロディーと魂が込められた歌声に、会場のあちらこちらですすり泣きが聞こえ、会場全体が「祈り」の讃美歌を捧げられているような感覚に包まれた。
新曲のカップリング曲でコロナ禍の中で生まれた、日々を一生懸命に生きるすべての人々へ贈る応援歌「あなたに愛されて」、ファーストアルバム『東京恋文』とセカンドアルバム『悲しみにつかれたら』からも、今春102歳で他界した祖母の愛の人生を歌った「愛の遺産」や、フランスを舞台にした「懺悔の裏窓」、俳句を詞の中に織り交ぜた「美しき人生」、1日遅れのクリスマスソングメドレーや「愛の讃歌」などのシャンソンメドレーなど、バラエティー豊かな全12曲を披露。蘭華の美しく透明感あふれる歌声が、厳かな教会の天井高くに響きわたった。
時折涙を堪えながら熱唱する蘭華の姿からは中村氏に捧げる特別な思いが切々と伝わり、コロナ禍で希薄になりがちな人としての優しさや命の尊さを、曲を通じて体感できるコンサートでとなった。
また、チャリティーコンサートとしてチケットの収益がペシャワール会に寄付され、会場にはペシャワール会への募金箱も設置された。コロナ禍での開催に、勇気と希望の歌を届けた蘭華のパフォーマンスは、会場にいる観客たちの心に深く寄り添い、明るい未来への希望を抱かせたことだろう。2021年もシンガーソングライター蘭華の活動に大いに注目したい。
2020年10月7日発売
心に響く愛の物語
蘭華「ねがいうた/愛を耕す人」